第75話 選択の結果

「無論、不可能では無いですが、非常に面倒です。ですので、ログアウトは期待しないで下さいね、というところです」


月花が苦笑しながら言う。


「あああ・・・」


カゲが頭を抱える。

まあ、おおごとだよな。


「あの・・・伝えてきます・・・」


ふらっと、カゲが闇に潜り込んだ。

いや、イデア伝えて、イデアに全部やらせれば良いのに。

にしても、


「そう言えば・・・最近、イデアに会ってないなあ」


カゲに聞いても、何時も忙しいらしい。


--


「まあ・・・人類が選択した事だし・・・仕方が無いと思うよ?」


疲労困憊で突っ伏す六王・・・もとい、五王とカゲに言う。

スレイもいるが、呑気にスイーツを食べている。


結局、LJO根絶計画は実行された。

俺も強制ログアウトさせられた。


で。


1週間程経ち、再びLJOに自動ログインする人が出始め・・・ログアウトさせられない、と騒ぎになり。

ようやく、怪文書扱いされてた、フェル達の報告が認められ。

慌てて強制ログアウト電波を中止──俺もようやくログインできた──し、ログイン防止用の首輪も破棄。

しかし、時既に遅く、自動ログインの場合はログアウトが不可になったままだ。


まあ、レベルが10万を超えるか、自分でログインしていた場合は、これまで通りログアウトできるのだけど。


初期に登録回避しようとするか、もしくはログインをさぼっていると、自動ログインになる様だ。

基準は不明。


LJO現象の解決や、未帰還者のサポート、といった役割が認められ、LJOプレイヤーは申請すれば国際機関から補助が出るようになった、らしい。


俺は申請してない。

面倒そうだし・・・何故か家事サービスのお姉さんの無料チャンスに当たり続けているので、生活に困っていないのだ。

・・・悪いとは思うのだけど、そろそろ生活費は心許ないので、命綱。


「外も・・・中も大変・・・」


フェルが疲れ切った様に言う。


外・・・現実の混乱は当然だが、この世界も混乱している。

現実の実力者がこの世界に閉じ込められた結果、権力を振りかざし始めたのだ。

プレイヤーへの圧力は勿論・・・NPCの人達にまで迷惑をかけている。


街の防衛をプレイヤー達に依存する以上、お偉方の我儘も聞くしかない。


「・・・NPCの方達を、ほぼ奴隷の様に扱うからね・・・」


アイリスが苦々しく言う。


権力者は、最初の街、人間領の最奥から出ない。

そこから、プレイヤーやNPCに命令するのだ。

NPCは、奉仕させられる者も多いとか。


・・・俺は関わりたくないので、近寄らない。


何にせよ。

状況は激変した。

人類の選択の結果。


--


ひゅっ


鞭を岩に巻き付け、飛び上がる。

次の島へとジャンプ。

下は、雲。

此処は、無数の小島・・・殆ど岩くらいの大きさの物が浮かんでいる空間。

雲の下は、恐らく何もない。

危険なエリアだ。


トライプニルに乗れば余裕だが、自力で移動するのが様式美だろう。


久々のソロ・・・カゲはいるけど。


カゲは、普通にジャンプして飛び移っている。

流石だな。

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