第30話 もう何も怖くない

「伝承の解読に成功したので、試してみたくなったんです」


フィロ。


「なるほど・・・そんなイベントが有るんだな」


イベントを達成しないと来る事が出来ないマップ。

どのくらいの人が訪れているのか。


「うちのPTが初の来訪者ですね」


月花が情報提供。

初かよ。


・・・そう言えば。


「なあ月花、他にもトップを目指すギルドとか色々乱立したんだよな。他のギルドってレベル分布とかどんなもんなんだ?」


「そうですね・・・うちを除けば、600とかのギルドがいますね」


600?


「600人?」


「いえ、最高レベルが600ですね」


・・・


ん?


「つまり、うちのギルド以外の高レベルの人は、みんなギルド未所属、って事か?」


「いえ?うちのギルド以外の人の最高レベルが600くらいですね」


・・・?


「ますたますた」


フィロがぽんぽん、と肩を叩く。


「フィロ、どうした?」


「うちのギルドのメンバー、みんな異常にレベル高い、よ?」


・・・


「・・・まさか、うちのギルドって、トッププレイヤーばかりが集まっているのか・・・?」


リミアが嬉しそうに言う。


至高の六王ヘキサグラム・・・正に、最強のギルドですね」


何・・・だと・・・


「名前に相応しいギルドになったわね」


フェルがドヤ顔で言う。


「マスタ、わざと集めてたんじゃないのか?私はてっきり、意図的に高レベルの人に声をかけているのかと」


ミストが言う。

知らないって。


「・・・そうかあ・・・」


というか、俺ってひょっとして、それなりに高レベルなのか・・・?


まあ、良いか。


幸い、外なら、煉獄城下層とそこまで差は無い。


「行こう」


とりあえず、アイスデビルとやらを引き付けて。


「いっちばーん!」


ミストが駆ける。


ロトンマンモスに向けて。

・・・まあ良いか。


「撃て!」


フェルの魔弾が射出。

威力は低いので、タゲ取り用だ。


ガッ


クリスタルレディ、アイスデビルに当たる。

こちらに気づき、向かってくる。


「おい、一匹ずつ倒すんだぞ?!」


ガバア


巨大なワームが不意に地面から出現。

く・・・伏兵か!


ギギ


空から、氷の巨大トンボが2体。

こいつら、リンクモンスター?!


やるしか・・・無い!


ヒュオウ


吹雪が形を取り・・・アイスエレメンタル?


もう各々接敵しているが、次から次へと・・・


「おい、撤退するぞ?!」


叫ぶ。


既に来たワープゲートの周りにはうじゃうじゃと・・・


「城に逃げ込め!」


デコイを撒き、蜃気楼を出し、幻影を投影し、仲間を掴み・・・何とか城に逃げ込んだ。


・・・何とか、皆欠けずに。


「・・・死ぬかと思った」


「助かりました。流石マスターです」


リミアがほっとした様に言う。


「長年訪れる者が居なかったせいでしょう。敵の密度が高く、特に入り口付近に多いみたい」


フィロが冷静に分析する。

迷惑な。


「とりあえず、街に戻ろう」


「無理よ」


フェルが否定。


「ワープ不可地域ね。さっきの入り口まで戻らないと」


・・・


「ログアウトして、ログインポイントを指定すれば」


「ログアウト出来ないよ?」


ミストが否定・・・は?


「ログアウト出来ないって・・・あ、グレーになってて押せない?!」


「ログアウト不可地域ですね。この地域内ではログアウト出来ません」


月花。

何それ。

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