第29話 飛行機能

「明日まで猶予をやる。良い返事を期待している」


「やっぱり1日短くなってるよな。後、それ格好良い台詞に見えるけど、今回の場合は格好良く無いからな?」


影が消える。

さて、どうしたものか。


--


影が忍び寄り、


ガサッ


とぷ


落とし穴、からのマジックトリモチ。

UR罠だぞ。


「貴様・・・離せ・・・」


じた、ばた


「離して下さい」


「落ち着け」


話をしようか。


「友人が欲しいなら、俺が友人になるよ」


「・・・!有り難い!」


じっとこちらを覗き込む影。


「そういう事か・・・相手の自由を奪った状況でなければ、友人となる事を承諾出来ない・・・すなわち、貴方様の考える友情とは、隷属」


「違うからな?後、刃突きつけて友人になれと強要してきたのはお前だからな?」


「ご主人様、このイデアは貴方様にお仕えします。何なりと申し付け下さい」


とりあえず、罠を解除。


「いや、対等の友人で良いから・・・友人になるのに、相手を脅す必要は無いからな?」


さて、盗賊系、だろうか。


「それと、今ギルドメンバーを探していてな。良ければ入らないか?まったり系のギルドなので、強さを求めるなら別の所に」


「・・・!是非お願いしたい。我は争いは苦手である。是非まったりギルドに所属したいのだ!」


争い嫌いな奴が殺気飛ばしながら尾行したり、刃突きつけて来るのか。


要請を出すと、承諾する。


「有り難い。何でも命じて欲しい。ご主人様の望みに応えよう」


「普通に対等の友人になって欲しいかな・・・」


ともあれ、今度こそ男性が加入。

フェルも喜ぶだろう。

・・・ちょっと変わった人だけど。


--


「イデアと申します。宜しくお願いします」


ぺこり、と頭を下げるくノ一の少女。


一度みんなで顔合わせ・・・となり、その場で姿を現し覆面を脱いだ。

うん、女性だったんだね。


「どうせ美女だって知ってた」


フェルがジト目で言う。


「いや・・・その・・・イデアは存在を消し、覆面もしていてだね・・・」


「どうされましたか?私はご主人様に迷惑をおかけしているのでしょうか?私はご主人様の奴隷。この度は・・・」


「待て」


奴隷じゃない、友人だ。


「・・・マスター、ナンパや多股には目を瞑っていましたが、奴隷はちょっと・・・」


「違うからな?!」


びくっ


イデアは顔を真っ赤にして、か細い声で、


「すみません・・・私はご主人様の・・・その・・・せ・・・い・・・奴──」


「違うからな?!俺達友人だよな、なっ?」


「・・・ずるい」


フェルが呻く。

フェルも友人だからな?


「可愛い女の子に友人、と証言する事を強要・・・何だかイケナイ構図っぽい」


フィロ。


「あのなあ・・・」


まさか女性だとは思わなかった。


「とりあえず、軽く狩りに行こうよ!緊急にお金が必要なんだ!」


ミスト。


「待てコラ、ミスト。ちゃんと借金イベントは中止したんだよな?」


「いや、その・・・もうちょっとで、マイハウスに飛行機能が付くんだ。移動が便利に!」


「マイハウスは、マイボックスから出れないのですが・・・」


月花がツッコミを入れる。


「僕も狩りに行きたいな。何せ、ソロは苦手で」


アイリスが言う。

いや、キミ、ソロが滅茶苦茶強いよね。

何気に魔法まで使うしな。


「じゃあ、行こうか」


みんなに呼びかけた。


--


コキュートス。

吹雪が荒れ狂う地。


奥には、アイスパレスが有るが・・・まだ外のフィールド。

フィールドとは言え、その難易度は異常。


「あれがレベル6000、アライアンス級のアイスデビル。あれがレベル5000、アライアンス級のクリスタルレディ。あれがレベル6000、アライアンス級のロトンマンモス」


「・・・なあ、何で、新しい狩り場に来た・・・?しかも、滅茶苦茶強いんだが」


初めての人がいるなら、行き慣れた場所に行くべきだよな・・・?

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