第31話 誰も部屋に居ませんよ

「食事とか睡眠とか、どうすれば良いんだ?」


後、排泄。


「ゲーム内で済ませれば良いんじゃないかな?」


アイリス。


「いや、それ何の解決にもなって無いからな?ゲーム内で食事しても、リアルのお腹が膨れる訳じゃ無いだろ?」


「え、ゲーム内で食事したら、リアルでお腹膨れるよね?」


・・・あれ・・・そう言えば、ゲームでたくさん食べて、ログアウトしたら・・・夕食とらなかったりするな。


「妹に聞いたんだけど、ゲームを始めると、リアルでは消えるらしいよ?」


フェル。


「ちょ・・・」


「消えてますね」


月花。

何・・・だと・・・?


「では、無事解決、という事ですね」


・・・そう・・・なのか?


「この部屋も、いつ敵が襲って来るか分からないので・・・注意して下さい」


リミアが注意喚起。


「大丈夫ですよ。エントランスは敵が侵入不可設定です。拠点に出来ますね」


月花が言う。

それは有り難い。


「・・・となると。少しずつ外の敵、はぐれを倒しつつ、此処に戻って休憩、を繰り返し、かな」


「何だか合宿みたいで楽しいね」


ミストが嬉しそうに言う。


「お仕事は・・・まあ、誰か何とかするよね」


フィロが知らない、といった態度で呟く。


「良し・・・くれぐれも、可能な限り1体ずつ、な」


注意し、外への扉を開けた。


--


ザシュッ


ミストとアイリスの同時攻撃。

トンボっぽい奴が絶命する。


「次・・・あれか」


俺が遠くのカエルを矢で射る。

カエルが気づき、こちらに向かってくる。


ヴァリ


フェルとフィロの合体魔法。

カエルがこんがり焼ける。

上手くいけば、近づく前に処理できるのだが・・・


ガア


地面から巨大ワーム。


ガッ


下から突き上げるように、胴体部分にアイリスがシールドバッシュ。

ワームが地面に叩きつけられ、


ザッ


ミストとイデアが斬りかかる。


ギイイ


トンボが空からやってくる。


ザッ


アイリスが投擲した槍が、トンボを吹き飛ばす。

槍がアイリスの手に戻る。


ゴウッ


フェルが放った魔法がワームを燃やす。


ザンザンッ


フィロの放った光の槍が、ワームを貫く。


ゴウッ


トンボのブレス。

アイリスが盾で防ぎつつ耐え、


ボウッ


リミアが放ったヒールが、アイリスを癒やす。


敵にリンク属性が有るのか、結構来るので、前衛3人も重要だ。


ザッ


ミストとイデアの攻撃で、トンボが倒れる。


「終わったぁ」


ミストが座り込む。


ササッ


月花がドロップを回収してまわる。


「そろそろ休憩しようか」


俺が言うと、みんな賛成する。


「マイボックスポイントがあれば、マイハウス呼び出せるのにね。残念」


フェルが言う。


「ご主人様のマイハウスなら呼び出せますよ?」


月花が言う。

月花は、何処でもマイハウスを呼び出す事が出来る。


「本当ですか?是非お願いします」


リミアが嬉しそうに言う。


「そう広くないけどな」


このフィールドの方が広い。


「それでも、家で休めるだけで有難い」


フィロが言う。


「へへへ・・・シルビアの家だあ」


フェルが呟く。

変な事するなよ?


「うちの家広いよ」


ミストが胸を張って言う。

良いから借金イベント、さっさと中止しろ。


「ご主人様の家・・・宜しければ防犯対策を致しますが」


イデア。


「うん、侵入者とかあり得ないので要らないかな」


月花が何か色々やってるしな。


月花がゲートを開き、一同、中に入る。


池の横に庭、そして、小屋。

シンプルな外観だ。


「あれ、こんなパーツあったっけ?良いなあ、このデザイン」


フェルが珍しそうに言う。


「月花、これって何か決まったパーツとかあるのか?」


パーツ・・・マイハウスのカスタマイズの際に使える、デザインセットだ。

近未来的な家にも、雪国みたいな家にも出来る。

床、空、遠景、オブジェクト・・・個別のパーツもあるし、セットになっているやつもある。


「無いですね。イチからデザインしました」


月花が答える。


「良いなあ。自分で考えると大変だけど、妖精がやってくれるんだね。僕も頼んでみるよ」


アイリスが関心したように言う。


「あ、私も頼んでみよっと」


フェル。


「痴女にそこまでする義理は無いですね」


「月花ちゃんにやって貰おうと思ってないからね!」


月花の毒舌に、フェルが抗議する。


一拍置いて。


「痴女じゃ無いですからね!」


「「「「「「え」」」」」」


フェルが続けて抗議するが、俺も含め、みんな声を漏らす。


月花がぽつり、と。


「そもそも、さっきのは、フェルのフェアリーの台詞を代弁しただけで」


「嘘、私あの子にそんな事思われてるの?!」


フェルが月花を掴んでがくがく揺らす。

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