第5話 レベルアップ

狼が迫ってくる・・・っていうか、はやい?!


ひゅ


勘を頼りに紙一重で躱し。


ゴッ


蹴りを入れる。

ずれ・・・やはり、感覚が鈍っている。

ここでは、ない。


さしてダメージを与えられていない。

狼は体勢を立て直すと、再び突っ込んでくる。


ゴッ


相手の勢いも利用しつつ、蹴りを入れる。

今度は、少し光が出る。


クリティカル


タイミングと、場所を正しく選べば・・・大きなダメージが期待でき、防御力の一定量を無視できる。


<種族レベルが4上がりました>

<ファーストジョブレベルが1上がりました>


さっき芋虫と戦っていた時も気付いていたが。

敵にとどめを刺したタイミングでは無く、何かアクションを起こしたタイミングで経験値が入る。

1撃目が1、2撃目が2、3撃目が3・・・工夫をすると、少しずつ獲得経験値が増えていた。


最後の攻撃は、それなりに上手く殴れたのだろう。

得られた経験値も多かった。


少しだけレベルが上がり、動きが少しだけましになった。

バランスを崩した狼に駆け寄り、


ゴッ


回し蹴りを喰らわせる。


<種族レベルが3上がりました>

<ファーストジョブレベルが1上がりました>


更に上手く蹴った筈なのに。

思ったより経験値が伸びない。

恐らく・・・


上手い戦闘、だけでは経験値は決まらない。

どれだけの経験を積めたか・・・それによるのだろう。


日常生活で、トレーニングをする際・・・

普通に素振りをするのと、イメージを重ねて集中して素振りをするのでは・・・

後者の方が、何か色々と消費している感がある・・・

それと同じ感覚で。


理想を重ね、考察を重ね。

重々しく、軽やかに。

拳を振り抜く。


ゴッ


光が弾ける。

トゥルークリティカル。


キュン


ウルフが倒れる。


拳に生暖かい感触が残り・・・


<種族レベルが21上がりました>

<ファーストジョブレベルが8上がりました>


-----------------------------------------

名前:カギロイ(真名:シルビア)

種族:ニンゲン

種族レベル:[UPD]29

ファーストジョブ:レンジャー

職業レベル:[UPD]11

セカンドジョブ:なし

STR:[UPD]22

AGI:[UPD]28

DEX:[UPD]24

VIT:[UPD]12

INT:[UPD]10

MEN:[UPD]9

BONUS:0

武器:なし

防具:なし

装飾:なし

備考:

 ふくろうのかご

  ・探知、看破を無効にする。

   ただし、付与者より格上の

   存在には無効。

  ・ステータス、レベル、職業等を偽装できる。

   数値を実際より低く偽装した場合、

   その数値にまで能力が制限される。

-----------------------------------------


宝箱だ。


鉄の宝箱・・・木の宝箱が有るなら、上位宝箱なのかも知れない。


解錠、気配探知、といった一般スキルは有るが。

レンジャーであれば、その上位スキルが有る。


宝箱を手に取り・・・勘に頼り、少しいじり・・・


カチ


開ける。

かつての俺であれば、一瞥するだけで開けられたものだが。

衰えたな、と思う。

ブランクがそうさせるのか、歳を取ったせいなのか。


<解錠スキルのレベルが10上がりました>


中には、お金と、短刀。


<?短剣を入手しました>


これは・・・鑑定が必要か。

レンジャーのスキル鑑定は・・・取れるな。


<[C]鉄の短剣を入手しました>

<鑑定スキルのレベルが4上がりました>


レアリティ、コモンの武器。

以前のゲームでは、拾いもしなかったアイテム。

まあ、無いよりはマシだ。


所持スキルには、解錠、鑑定は、それぞれ1つずつ。

一般スキル、職業スキル、といった区別は無いようだ。

統合されるのだろうか。


<関知スキルのレベルが7上がりました>


何か近付いてくる。

またウルフか。

このあたりは、魔物に見つかりやすいのかも知れない。

少し移動するか。


<隠密スキルを獲得しました>

<隠密スキルのレベルが8上がりました>


抜き足、差し足、忍び足。

倒しても良いのだが。

気付かれないように距離を取る。


やがて見えてきたのは・・・腰のあたりの高さの、巨大な蜘蛛。


?スパイダー


鑑定、役に立たねえ。


識別名が赤いので、多分格上。

だと思う。


気付かれたか。


がさ・・・


近付いてくる。


<隠密スキルのレベルが2上がりました>

<隠密スキルのレベルが4上がりました>

<隠密スキルのレベルが6上がりました>


気配を消そうとするが。

やはり、既に見つかっていては厳しいか。


ひゅ


一転、距離を積め、


ザンッ


攻撃、そのまま駆け抜け距離を取る。


<急襲スキルを獲得しました>

<急襲スキルのレベルが32上がりました>

<短剣スキルを獲得しました>

<短剣スキルのレベルが41上がりました>

<離脱スキルを獲得しました>

<離脱スキルのレベルが28上がりました>

<種族レベルが31上がりました>

<ファーストジョブレベルが14上がりました>


そろそろシステムメッセージがうっとうしくなってきた。


攻撃を躱し、急襲、離脱を繰り返し・・・


きううう・・・


情けない声を出して、蜘蛛が倒れる。

レベルが大分上がったせいか、動き安さも上がり、攻撃も重くなったと思う。


鉄の宝箱、解錠、鑑定。


<[C]鉄の盾を入手しました>

<[C]鉄の剣を入手しました>

<[C]皮の鎧を入手しました>


宝箱の出現や、入手アイテムにレンジャーの特性はのっているのだろうか。

以前の俺であれば、ドロップが吹き上がったものだが。


短剣よりは、剣の方が良い。

短剣はアイテムボックスにしまい、手に入れた装備を身につける。


レベルアップによりアイテムボックス容量は少しずつ増えてはいるが。

すぐにいっぱいになりそうだ。

いっぱいになったら、かさばるものを棄てなければ。


幸い、お金は容量をとらないらしい。

宝石はかさばるが、武具よりはマシ。

短剣が邪魔だ。


以前のゲームでは、序盤に変わり者の妖精が冒険についてきて来てくれていたので、アイテム所持量の心配は無かった。

早急に何らかの対策は必要そうだ。

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