第110話 1万3421年ぶり

「改めて。久しぶりだね、リミア」


「ええ・・・5千年ぶり、ですね」


時間の流れが違う?!


「いや、1万3421年ぶり、だよ」


フィロが首を振る。

更に時間経過が激しい。


「久しぶり、だな」


ロリアが、加わる。


「お久しぶりです、ロリア。貴方は・・・魔族の代表?」


ロリアは首を振り、


「いや。私は、この世界に転生した存在、今はシルビア殿の従魔で嫁、種族も魔族では無く、ミミック」


「なるほど、シルビアの従魔・・・で・・・え?」


リミアが、何かに引っ掛かったのか、疑問符を浮かべる。


「まあ、魔族の代表は多分・・・」


フィロがそう言うと、リミアが頷き。


「魔王の──むぐ」


続けようとしたリミアの口を、俺が慌てて塞ぐ。


「魔王、にゃ?」


トキが小首を傾げる。


「リミア、紹介しよう。トキ──の妹だ」


「初めまして、にゃ。聖王アークセイントリミア」


トキが、ぺこりと頭を下げる。


「・・・あの時はすまなかった。魔王化したとはいえ、皆をこの手で」


ロリアが頭を下げる。

一瞬疑問符が浮かんだフィロとリミア。

だが、すぐに気付き、


「あれは仕方が無い。魔王化現象のせい・・・しかも、原因を作ったのはニンゲンだよ」


フィロが言い、


「あれも、御神のお導き、です」


リミアが、目を閉じ、言う。


「・・・人間の屑さを、勝手に私のせいにするな。本来は、あの時点でゲームクリアだったのだ」


ヒノコ様が憮然として言う。

あれって、予定外だったのか。

人間の屑っぷり、すげえ。


「魔族の代表は──魔導王アークウォーロックフェルでしょうか」


リミアが、懐かしさと──それ以外の微妙な匂いを潜ませ、言う。

フェルは・・・どう出るか分からない。

だが、恐らく・・・戦いになるだろう。

ただ同盟を組むだけでは面白くない、そう考える気がする。


「鬼族が、剣王アークソードミストだね」


フィロが言う。

ミストも、戦いたがるだろうなあ。


「半精霊族が、騎士王アークロードアイリスでござるな」


カゲが続ける。


「あら、カゲさん。お久しぶりですね」


「久しいでござる、にんにん」


語尾増やすな。


「後は・・・イデア、いや、エイラが、影人の代表だね」


フィロがつけ加える。


「イデアさん・・・むしろ、カゲさんの方が強かったですよね、終盤」


「拙者は、生き残ったでござるからなあ。転生したエイラが影人筆頭となったでござるよ」


リミアの感想に、カゲが反応する。

筆頭、と言うか、盛大な押し付け合いがあったみたいだけど。


「天使がリミア、エルフが私、ニンゲンがシルビア・・・これで7種族、だね」


フィロが言う。


「後3種族・・・一筋縄ではいかない人ばかりです・・・」


オトメが不安そうに言う。

お前、知らないよね。


--


「久しぶりだね、シルビア」


後ろに控える、荒くれ者集団。

人間ではない。

鬼だ。


その先頭に立つのは、盗賊集団のお頭のよう。


漂う闘気は、尋常では無い。


鬼の種族代表、剣王アークソード、ミスト。


「ああ、久しぶりだな、ミスト」


ミストは、お祭り好きだ。

大人しく同盟は、申し入れないだろう。


「早速だけど、シルビア。勝負の方法だけど」


「ああ、聞こうか」


1試合目は、ミストの希望をのんで良い。

2試合目以降、調整だ。


「攻城戦・・・1年の期間で、長く専有した方が勝ち。城の建造は、うちが行うよ。工事期間は、3ヶ月欲しい。この条件でどう?」


?!


「・・・持ち帰って検討します・・・」


俺は、項垂れて呟いた。

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