第38話 石が必要かも知れない

「と言うか、シルビア、その狼の声、聞いた事が有るんですけど??!」


目に涙を浮かべ、フェルが尋ねる。


「お、おう。フェリオだな」


ちなみに、小狼サイズになっている。

戦闘能力も相当低下している。


いわゆる、あれだ。

苦労して仲間にしたら、さっきまで無制限に強い魔法使ってたのが、MPは少ないし、レベル上げないと魔法使えない的な。


「・・・気にしない事にするわ。それより・・・みんなマイハウス色々有るし・・・また、交互にお泊り会しましょう」


フェルがそう言い、


「それはそうとして、ギルドアジト使わないのですか?」


月花が小首を傾げ、そう尋ねた。


--


高くは無いが、植生豊かな山。

遠浅の海岸。

緩やかで大きめの川に、広い池。

それなりの広さの草原。


風光明媚な自然と、北欧の美しい城。


中は残念ながら、俺のマイハウスと同じ様な普通の部屋。

俺のマイハウスのみんなのマイルームと同期していて、住み慣れた部屋を利用できる。


「空いてる場所に適当に物を飾って頂いても問題有りません。マイルームはご主人様のマイハウスのマイルームと同一にしていますが、その他の施設はこちらの方が広いです。男湯と女湯に完全に分かれていて、7階建て、40種類の温泉が楽しめます。調理場も広く、一度に1000人以上の料理が可能です」


月花が説明する。


「何と言うか・・・凄いですね」


リミアが苦笑いしながら言う。


「自分のマイハウスよりこっちの方が良いわね・・・」


フェルが溜め息をつきながら言う。


「あ、でも、太陽パネルはうちの方が多いし、便利だよ」


ミストが言うが、


「魔導エネルギーを使っているので、太陽光発電する必要は無いですね」


月花が否定する。


「そもそも、日が当たらない箇所に有るソーラーパネルは無駄だからな?」


俺が言うと、


「そもそも、ソーラーパネルから電気とってないですし、電化製品も無いですしね」


月花が言う。

無いのか。


「まだ、借金全然減らせていないのに・・・もっとたくさん借金しなければ・・・!」


「いいからキャンセルしろよ・・・」


というか、完済しかけたら追加するんじゃなかったのか?


--


「ここが空中庭園、リュケイオン!」


フィロが感動を隠せない声音で言う。

雲海の上に浮かぶ島。

丘の上には、朽ちかけた遺跡。


「・・・へー・・・で、どうやって帰るんだ?」


俺は、半眼で呻く。


「あれを倒すんじゃない?」


ミストが指差した先・・・


雲から顔を出す、蛇・・・じゃなくて、龍。


「レベル50000のアライアンス級、天龍ですね」


月花の解説。


「・・・流石エリアボス・・・強そうだな。まあ、真フェリオよりはマシか」


「主よ、真、とはどういう意味か」


そのままの意味だよ、劣化しまくりやがって。


シルビア 人間 10012 シーカー 198

フェル 魔族 16422 冥王 33

リミア 天使 15731 秘巫女 21

ミスト 鬼 15916 剣神王 23

フィロ エルフ 15981 万能者 25

アイリス 半精霊 16023 守護神王 29

イデア 影人  15966 忍王 23


まあ、俺以外はみんな強いし、少し育てば何とかなりそうだ。


「まあ、当面の目標は分かった。レベル上げして、あいつを倒すぞ」


こくり。


一同、頷く。


「ここを壊せば脱出できるんじゃない?」


フェルが提案する。


「壊すって、そんな事をしたら危険だと思うが・・・」


まあ、フェルなら壊せそうだが。


「パルス!!」


フェルが叫ぶ。

それがどんな魔法かは分からないが、魔力の流れは起きなかった。

不発?


「駄目かあ・・・」


フェルが残念そうに言う。

魔法が使えないのだろうか?

そうなるとかなり厳しいが・・・

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