第39話 みそっかす

「月花、雑魚敵が居そうな場所を教えてくれ」


月花に依頼すると、月花がすっと・・・龍を指さす。

誰がエリアボスの居場所教えろと言った。

いや、確かにエリアボスの周りには雑魚敵群がっているのかも知れないが、勿論却下だ。

誤爆したらどうする。


「あいつらはどうかな?」


アイリスが指さす先・・・


小さな森の様な場所に、大きな蜘蛛やら、お猿やら、蛇やら。

レベルは・・・分からないが、そこまで強い魔力では無い。


「大体、レベル20000のアライアンス級ですね。強さ的には、ぷち強いくらいかと」


月花の解説。

いや、普通に考えたら、絶望的に強い筈なんだが・・・


「もう少し強い方が歯ごたえ有りそうだけど・・・取り敢えず肩慣らしかな」


ミストがそう宣言、剣をぴしっ、と蜘蛛に向ける。


「取り敢えず、俺が1匹釣って、それを全員、一斉攻撃で」


作戦を立て、指示を出す。


「了解だよ、マスター」


アイリスがそう言うと、駆ける。


「来い!」


アイリスが叫んだ瞬間、周囲の魔物が顔色を変えてアイリスに殺到!


「騎士系スキル、サクリファイス。行動出来なくなる代わりに、極めて強く敵意を集め、攻撃を全て引き受けます」


1人ずつって言ったよね?!


ザンッ


寄ってきた敵を、上手く一直線に並べ・・・


「貫け!」


アイリスが突き出した槍・・・大きな槍が幻視され・・・


ゴウッ


敵が壊滅的なダメージを受け、散る。

待て、動けないんじゃなかったのか。


「・・・の上位スキル。絶大な防御を得、行動可能になり、更に強い反撃属性を付けるため、回避率の大幅低下と、防御力の激減・・・そこに大打撃を叩き込む事が可能です」


月花が続ける。

おい。


「撃ったのは、アルティメットストリーム。魔法攻撃と物理攻撃の混合攻撃。直撃したら更にクリティカルダメージがプラス」


「・・・アイリス・・・異常に強く無いか・・・」


ミストが斬り込む・・・


「おい・・・突出するな?!」


サンッ サンッ


格上の筈の敵を、豆腐を切り裂くように切断、そのまま絶命させる。


「剣士系の真骨頂、神斬カミキリ。技術が高ければ、あらゆる事由を無視して、切り裂きます。本来は確率により神業が発揮されるのですが・・・ほぼ確実に成功しているようですね」


アイリスに剣を教えてやれ。


続いて走ったのは・・・リミア?!


「はっ!」


蹴り、殴り、投げ・・・

素早い動きで敵の懐に飛び込んでは・・・吹き飛ばし、倒していく。

支援回復はどうした。

支援はかけたみたいだけど。


「シュート!」


フェルの上空に浮かび上がった無数の光の球が・・・上昇し・・・次々と敵を貫く。

一撃で敵が沈む。

普通に強い。


向こうの方で、敵が勝手にばらばらになっている。

多分イデア。


「ファイアー」


フィロが放った炎が、地味に敵を焼き尽くす。

・・・普通に強いんだけど、フェルが派手過ぎて霞むっていう。


・・・うん、みんな強いね。


があっ


ワームっぽい、白い物が近くから飛び出る。


「ハウリング」


俺の命令に従い、フェリオが叫ぶ。


ワームが怯み・・・その内に・・・


「ブラスト」


俺の指示で月花が炎の魔法を行使。

ワームが炎上・・・息絶える。


一応、従魔を使えば何とか倒せるが・・・


があっ


もう一体ワーム。

かぷ


フェリオがかみ砕く。


・・・というか、指示しない方が強いというか。


まあ、あれだ。


「ちょっと歯ごたえ無いかな」


ミストが困った様に言う。

ですよね。


--


朽ちかけた遺跡・・・遺跡の中は、美しいクリスタルの神殿。


敵は、機械の敵が多いようだ。

とはいっても、青い光がところどころ走っていて、魔導機械、っぽい感じのようだ。


「レベル40000のアライアンス級が多いですね」


月花の解説。

まて、エリアボスクラスだぞ。


「上層にはレベル60000、その上には10万の者もいます」


「絶対行くなよ・・・」


「・・・ちょっと心配ね」


フェルが言う。

フェルは、フェリオに喧嘩を売って以降、慎重になってくれた。


「そうだね・・・4万くらいで、歯ごたえが有るかどうか・・・」


フィロ。


「・・・いや、格上だぞ・・・」


そもそも、アライアンス級は、決してソロをして良い相手ではない。


機械の騎士が、ゆっくりと近付いてくる・・・消えた?!


ガッ


フェリオが騎士に噛みつき、突進を止める。

・・・俺が直撃コース。

見えなかったぞ。


サンッ


一拍遅れて、ミストが騎士の頭を攻撃・・・切り裂けない。


キイイイイン


澄んだ音が響き、剣が弾かれる。


タンッ


弾き飛ばされたミストが、壁を蹴って再度飛ぶ。


ガッ


アイリスが、後ろから迫っていた戦車っぽい足の奴を止める。

鈍重そうなフォルムなのに・・・早い。


ガッガッガッ


月花が放った雷が、戦車っぽい足の機械を攻撃・・・多段ヒットさせながら、後ろに弾き飛ばす。


チッ


機械兵の放った銃が、ミストの腕を貫く。


ボウッ


ミストの周りを飛んでいた光の泡が1つ潰れ・・・ミストが瞬時に回復した。

リミアが纏わせた光の球だが、回復だったのか。


ガッ


凄い音がしたかと思うと・・・


ガンッ


いつの間にか回り込んだアイリスが、盾で敵を弾く・・・巨大な多脚ロボ。


敵も・・・味方も早すぎる。

レベル差、そして戦闘職・・・その辺りの差だろう。


「いえ、そもそも、ご主人様だけ4次職。言わばみそっかすです。当然かと」


・・・


そう言えば。


-------------------------------------------


2019/05/22:

アイラアンス→アライアンス

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る