第115話 それぞれの望み

本当は、直接尋ねるのは正当では無いのだろう。

だが・・・前に進まなければならない。


これは予感だが・・・

アイリスやフェルも、何か目的があると思う。

それを・・・俺は、識らなければならない。


リミアは、結局聞けていない。

フィロは・・・嫁だ。

ひょっとしたら・・・教えてくれるかも・・・

答えを集めれば・・・

次の推測のヒントになる。


「あれは・・・えっと・・・その・・・」


フィロが・・・赤くなり、そわそわする?


「もうかなっている・・・というか・・・」


?!


「シルビア、キミが好きだったから・・・キミと一緒になりたい、それが私の望みだったんだよ」


??!


嘘では無さそうだ。


「・・・フィロ・・・有難う・・・」


フィロを抱き寄せる。

可愛いなあ・・・


なるほど・・・個人的理由で有る事もあるのか。


「ミストの目的は、みんなの幸せだった」


「え」


「リミアも・・・何か望みが有るようだったが・・・想像もつかない」


「いや・・・あのね、シルビア・・・」


「きっと、アイリスとフェルも、何か望みを持っている筈だ」


「あ、うん、そうだろうね」


「アイリスとフェルの望み・・・俺は、それを識る必要がある」


「・・・私が言って良いのかなあ・・・」


ん?

フィロは、みんなの望みを知っているのだろうか?

流石賢人・・・


一方で、口にする事は禁じられている。


フィロの望み、それは、偽り無いだろう。

だが・・・やはり、俺の知らない所で、何かが動いている。


俺は・・・そこに辿り着く必要がある。


「ありがとう、フィロ。もう少し・・・考えて見るよ。これでも──」


フィロを真っ直ぐに見ると、


「最近、色々気付く様になったと評判なんだ。俺の中で」


「あ、うん。昔よりは、遥かに気づいてくれると思うよ」


フィロが苦笑いする。


さて・・・結局、ヒントにはなりそうに無かった、か。


(ご主人・・・オトメゴコロです!)


オトメゴコロは関係ない。


--


「久しぶりだね、シルビア」


美しい、白銀の鎧。

今は、ハーフプレートだ。


騎士王アークロードアイリス。

かつての友人にして・・・半精霊の種族代表。

あっさり同盟してくれそうな気もするが・・・そうならない気もする。


「久しぶりだな、アイリス。俺達と同盟を組む気は有るか?」


「それも良いけど・・・せっかくだから、1戦交えないかい?」


やはり、そう来るか。


「どんな勝負にするんだ?」


「そうだね・・・シンプルな戦いにしようか。君達は5人を選び・・・こちらは、僕1人・・・全滅した方が負け・・・どう?」


こちらに有利な条件。

だが・・・アイリスは強い。

5タテされても、不思議ではない。


5人・・・フィロ、カゲ、リミア、ミスト、アリスか?


「そうそう・・・種族をニンゲンだけにすれば、僕は剣で戦おう。槍や盾を使った瞬間、負けで良いよ」


「なっ?!」


アイリスは、槍と盾を使った戦いが得意だ。

逆に、剣を使うと、何故か戦闘力が激減する。

非戦闘職の俺と、タメを張るくらい弱くなるのだ。

それはチャンス・・・


「・・・持ち帰って検討します」


俺は、そう告げた。


--


幹部を集めての会議。


「なるほど・・・アイリスが剣を使ってくれるなら、乗るべきだね」


フィロが頷く。


「アイリスにとっては、剣が弱いと言うのは甚だ不本意なんだろうけど」


ミストがポリポリと頬をかく。


「ニンゲン限定なら・・・カゲ、アリス、ソフィア・・・」


「あ・・・すみません、私は辞退させて下さい」


ソフィアが申し出る。

何でだよ、お前、ニンゲン上位じゃねーか。

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