第114話 神聖魔法は防御や補助に優れますが、火力も一番です

「さて・・・此処に、六王のうち、4人までが揃った」


俺は一同を見回し、告げる。


「みんな・・・久しぶりだね。よろしくね」


ミストが笑う。

と言うか、作戦会議に結構顔を出していたので、久しぶりという気もしない。


「六王・・・あと2人って、どんな人なの??」


レイが尋ねる。


「1人は、騎士王アークロードアイリス。絶対的な防御、神速の動き、各種魔法も使う。万能の戦士だね」


ミストが教える。


「もう1人は、魔導王アークウォーロックフェル。魔道士で・・・トキのお姉さんだね」


フィロが続ける。


「なるほど・・・アイリスさんが強敵そうですね」


ユウタが呟き、


微妙な空気が流れる。


「え?」


ユウタが小首を傾げる。


「アイリスは、間違いなく強敵だろう。フェルは・・・そもそも、俺達で相手になるかどうか」


俺が、呻く。


「フェル殿・・・考えたくないでござるな」


「お姉ちゃん・・・私が知ってるお姉ちゃんは、ただ、無敵にゃあ・・・」


「戦いたくないね、あらゆる意味で」


「フェルさん・・・御神よ、御慈悲を」


「フェル・・・ううう・・・」


カゲ、トキ、フィロ、リミア、ミストの感想。


「会って旧交を温めたくはあるが。戦いは絶対に避けたいな」


ロリアがため息をつく。


「・・・魔道士だよな・・・そんなにやばいのか?」


サクラが訝しげに問う。


「あの岩・・・破壊不可オブジェクトだから、破壊する事は困難だな?」


「お・・・おう」


俺の問いに、サクラが頷く。

岩、地面、場所によっては木々も。

背景設定されたものは、普通は壊せない。

耐久値が、通常オブジェクトの範囲外なのだ。

簡単に壊れては、通常のプレイに支障が出るからな。


「山や地面をあっさりと蒸発させる、それがフェルだ。もう、回避とか、防御とか、そういう話じゃない」


「えええ・・・」


サクラが呻く。

そもそも──


「最初会った時から、火力があり過ぎて、敵からのドロップアイテムを燃やしていたからな・・・あれも破壊不可なんだが・・・」


「すげえ・・・」


サクラが若干──いや、かなり引いている。


「まずは、アイリスを味方に引き込みたい、な」


アイリスなら、普通に同盟を結んでくれる・・・可能性もある。


--


「フラッシュエッジ!」


フィロの手の先から光の剣が飛び、魔獣の装甲を豆腐の様に貫く。


「ん・・・やっぱり、精霊魔法より、神聖魔法の方が攻撃力高いね」


フィロが苦笑いをする。


フィロは、賢人だ。

精霊魔法を始めとした攻撃魔法と、神聖魔法を、両方扱える。

一般的には、神聖魔法は補助や回復に使うのだが・・・


神、ヒノコ様の属性上、優れた攻撃魔法も行使可能。

結果、精霊魔法より神聖魔法の方が強いらしい。

プリースト最強説。


フィロと2人でデート、というか、狩り。

エルフの領域の、超巨大ダンジョン。

ダンジョンの中にサバンナが有るのは・・・まあ、あるあるだ。


そう言えば──


「フィロ、聞きたい事があったんだ」


「ん?なあに?」


俺が岩に腰を下ろすと、フィロも横に腰掛ける。


エイラの目的は・・・主人を得る事。

ミストの目的は・・・みんなの幸せ。


なら・・・


「フィロ、最初に言ってたよな。フィロには目的が有るって。あれって・・・何だ?」

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