第116話 千の偽装

騎士王アークロードアイリス。神速の動きと、高い魔法防御・・・純粋に、相性が悪いです」


「・・・それは、確かに」


アイリス相手だと、フィロでも相性の関係で負けるだろう。

ミストやイデアで、互角か・・・


リミアは、逆に有利だ。

格闘もこなせるし、各種神聖魔法も行使する。

ヒノコ様の専用魔法も使える様になったので、頭一つ抜けた。

・・・制限外して、普通にリミアにアイリスを倒して貰う手もある。


「シルビアさん・・・私も、辞退させて下さい」


アリスが申し出る。

何でだよ。

お前、うちの陣営でも上位じゃないか。


「私は体術も苦手ですし・・・支援魔法以外使えませんし」


「いや、ホーリーモンク並の格闘能力有りますよね。攻撃魔法も使ってましたし」


ソフィアがツッコミ。


「神に仕える身、争い事は禁止されていますし・・・御神の使徒としての仕事も有りますし」


「普通に、私達、天使と戦いましたよね。使徒の仕事は、私がやっていますし」


リミアのツッコミ。

まあ、乗り気じゃないなら外すか。


一同を見回し、


「俺、トキ、カゲ、レイ、サクラで行こうか」


まあ、無難な人選だろう。


--


「初めまして。騎士王アークロードアイリス。六王の1人にして、半精霊の種族代表。お手柔らかに頼むよ」


アイリスは、今はフルプレートに身を包んでいる。

何時もの槍と盾は持たず、片手剣を両手で持っている。


アイリスの後ろには、半精霊達が群れをなし、観戦。


サクラの後ろには、俺達。


「うぬぬ・・・騎士王アークロード殿とは、是非手合わせをしたかったのだが・・・」


アーサーが呻く。

いや、君、始まる前に負けるよ。


「私なら勝機が有りましたわ!」


笑気?

多分、魔法勝負で負けるんじゃない?


千の偽装サウザンドサクラ・・・夢守商事の社長令嬢にして、クルイザキ社の社長・・・せめて、一矢報いるぜ!」


サクラが、長大な刀を構える。

うん、現実リアルは関係無いよね。


「それでは・・・始め!」


月花が宣言。


ダッ


速攻をかけたのは、サクラ。

アイリスは守りを──


いや。


ちゃ


アイリスの剣が、向かっていったサクラの喉元に。

最小限の動きで躱し、かつ、サクラの喉元を捉えた。

一瞬の決着。


・・・


全然動き見えねええええええええ。


ひょっとして、剣が苦手なの、克服したんじゃ。

それで、こんな条件を・・・?

そもそも、転生した際に、まともになってた可能性が。

これは・・・嵌められた?


「・・・降参だ」


サクラが刀を下げる。


「いや、アイリスは強い。サクラは良くやったよ」


とぼとぼ戻ってきたサクラを慰める。


さて・・・


--


「次は私!」


レイが前に出る。

さて・・・レイは何処まで抗せるか・・・


「始めて下さい」


月花の宣言。


先程のサクラの戦いを意識してだろう。

慎重に距離を取るレイ。


そして・・・


ちゃ


距離を取っていた筈のレイの鼻先に・・・突きつけられる剣。


「・・・参りました」


レイがしょぼんとして言う。


うん、全く見えない。

あれ、俺と互角とか、あり得ない。


「あと3人、だね」


アイリスが、俺を見て言う。


・・・だがな、アイリス。

俺の前には・・・

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