第16話 ギルド作成

まあ、俺でも条件は達成できるのか・・・でもさ、


「なあ月花、それって・・・少し待てば、誰でも簡単に作成できるイベントやアイテムが実装するんだろ?」


「はい、その通りです。多分、後2週間程で準備できるかと」


「だったら、今苦労してギルド作る必要は無いんじゃないのか?」


「はい、その通りです」


だよね。


「そんな事ないよ!」


フェルが抗議する。


「何事も1番が大事よ・・・それに・・・私は既に19種類のボスを単独撃破している。後1種類で、条件が達成する・・・どう?」


なるほど、フェルが条件達成するのは容易そうだ。


「どう、と言われましても。お馬鹿さん、としか言えませんが」


「何でよ?!」


フェルが月花を掴む。


「おい、フェル。月花を攻撃するな」


「シルビアこそ、月花ちゃんに注意してよ!私馬鹿じゃないよね?!条件達成間近だよね」


「・・・まあ、それは確かに。フェルは条件達成は容易だな」


「でしょ??」


月花がぽつり、と、


「そう、フェルはもうすぐ条件達成出来そうですね?」


「うん」


フェルがドヤ顔を見せる。


「それで、フェルがギルドマスターになるのですか?」


「ギルドマスターはシルビアにやってもらうに決まってるわ」


何でだよ。


フェルがドヤ顔でそう言った後・・・固まる。


「条件を達成して、ギルド作成が可能になるのは、フェルです。ご主人様が条件達成するのは、後2週間では難しいでしょう。大人しく待った方が良いでしょうね」


そもそも、俺がギルドマスターやるって話が良く分からないんだが。


「・・・まあ、ギルドを作るのは反対はしないし、入る分には構わないよ。ただ、俺はギルドマスターの器ではないし、非戦闘職がギルドマスターをやるのも変な話だ。ギルドマスターをやるつもりはない」


俺はそう宣言する。


「・・・ギルドを作るなら、他のフレンドにも声をかけてみるよ。ひょっとしたら、そいつがマスターをやってくれるかも知れないしな」


既に条件達成している可能性もあるしな。


改めて別のフレンドに声をかける、という事にし、夜の再会を約束して、フェルと別れた。


--


「月花、結局ギルド作成って、条件を満たした後どうするんだ?」


「はい。通常なら、専用のNPCを用意して、話かけて作成するようになる予定ですが・・・今はそれが存在しませんからね。直接システムコマンドを実行します」


システムコマンド。

世界に語りかける言語・・・と言えば大袈裟だが。

まあ、元々がテキストベースのゲームだし、ちょくちょく入力していたアレである。


「メイクギルド、ギルド名。これがシステムコマンドです」


なるほど。


「世界に告げる・・・メイクギルド、至高の六王ヘキサグラム!」


両足を広げ、両手を天にかざし、宣言する。


「みたいな感じか?」


「メニューに追加されたギルド、のメニューが、ギルドの各種設定や、ギルド情報、ギルドチャット等のメニューグループです」


月花が説明を始める。

ん??

あ、何か追加されてる。

・・・?!


「おい、月花。何でギルドが作成されているんだよ?俺、2番の条件を満たしてないぞ?」


「はい。ご主人様は、2番の条件を満たしていません」


「・・・じゃあ何で俺のギルド作成が成功しているんだ?」


「禁則事項に抵触した為、情報の提供に失敗しました」


どういう事?!


「・・・ギルドの解散方法は?」


「未実装です」


ちょ?!


・・・


「ご主人様、おめでとうございます。ギルドシリアルナンバー0、至高の六王ヘキサグラムのギルドマスターとなりました」


嬉しくないおめでとうございますだね!

ギルドマスターもさる事ながら、どうするんだよ、この名前!

厨二過ぎるだろ!


--


約束の時間がきて、フレンドの2人──フェルとリミアと合流。

無論、俺は質問攻めに遭っていた。


「シルビア、誰よ、この女は」


「シルビアさん。貴方は正しき道を歩んでいません。この痴女からは距離を取るべきです」


何故か、ギルドの事そっちのけで、良く分からない事で。

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