第82話 低見の見物

「・・・どうしました?」


俺が尋ねると、


「・・・御主人様・・・今一体・・・何を・・・?」


オトメがあ然とした様子で尋ねる。

オトメのこんな顔、初めて見た。


「・・・キミは、本当に扉なら何でも開けるんだね。こうやって直接見ると、むしろ呆れるよ」


女神様が半眼で言う。

いや、流石にレンジャーだから、扉は開けられるぞ。


ガチャ


オトメが、警戒しつつ、扉を開く。


「「「「??!!」」」」


数体の龍樹が、ガサガサと揺れる。

表情分からねえ。


「な・・・何をした?!」


霊真極波動弾エーテルブリッド!!」


龍樹の誰何に、返すのはオトメの攻撃。


パチン


女神様が指を打ち鳴らす。


ギュンッ


無数の蒼白い剣が出現。

飛翔、次々に龍樹を貫く。


一方的な蹂躙の後、残骸すら残らず、龍樹は消失した。


「・・・女王種に、騎士種が4体・・・やはり、女神様への侵攻を考えていたのでしょうか」


「此処のような限定空間では、確かに手間だが・・・外に出れば一瞬で消し飛ばせるのだがな」


オトメの感想に、女神様が呻く。


女神様が、世界の核に手を伸ばし、


「・・・やはり、感染しているな。この世界の記録は、もう種にはできない。残念だが、消すしかない」


女神様が溜息をつく。

無事なら世界の再生ができたが、このままでは龍樹種が再生される、とかだろうか。


ギイイイイイイイイ


女神様が、核を縮小、消滅させる。

悲鳴に聞こえるそれは・・・しかし・・・安堵と、御礼と・・・そんな印象を受けた。


世界が割れ・・・


異空間に放り出された龍樹の雑種、兵種・・・歪み、破裂し、あるいは収縮し。


俺達は、女神様やオトメが展開する結界に入っている。

これがなければ、俺達も同じ運命なのだろうか。

いや、フェリオ達は、本来の力を出せば大丈夫なんだろうけど。


女神様は労いの言葉をかけると、去っていった。

侵略的次元渡航種。

恐るべき相手だった。

引き起こす惨劇も、その純粋な強さも。

最悪の神敵、か。


--


最終イベント。

トキと、ソフィアの、直接対決。


空中庭園。

森林ゾーン、砂漠ゾーン、山岳ゾーン、海ゾーン。

様々なフィールドが造られている。


トキ、または、ソフィアの姿が、無数の鏡に映る。

戦いを見届けられる様になっているのだ。


人類代表を決める、神聖な戦い。


頑張れ。


俺は、心の中でトキを応援する。


覚悟は出来ている。

どちらに転んでも、トキは人類代表。

俺は・・・全力で支える。

愛しい、妻を。


1位 トキ 1,480,988,237 ポイント

2位 ソフィア 1,356,321,349 ポイント

3位 シルビア 3,284 ポイント

4位 カゲ 21 ポイント


俺やカゲに、人類代表になる目は無い。

低見の見物。

・・・というか、カゲ、すげー。

ことごとく、得点取得を回避しまくっている。

殆どのイベントで、開幕直後に五英雄を殺し続けたのに。


圧倒的な力を持つカゲだからできた事で。


トキがソフィアを倒すのは、極めて難しい。

レベルが、1桁・・・下手したら、2桁も違う。

それだけの・・・実プレイ時間の差。

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