第101話 神の守護者

「リミア・・・売られた喧嘩は、買わせて貰うよ」


カゲ──イデアが、静かに、しかし、力強く言う。


「え・・・カゲ・・・さん?」


リミアが困惑した声を出す。

イデアの正体知らなければ、戸惑うよな。


まあ・・・初戦は、負けても仕方が無い。

次に、俺達に有利な条件で・・・


向こうの1人目が、前に出る。

うん・・・強い。

ごつい槍を持った、筋肉隆々のおっさん天使。

筋力の強さは言うまでもなく・・・気持ち悪い程の魔力が渦巻いている。


「勝負の方法は?」


「シンプルに、戦って勝った方でどうでしょうか?」


リミアの提案。

それは、うちの陣営にとっても悪くないし・・・分かりやすい。


「分かった。負けを認めるか、試合続行不可能となるか──死ぬか。それで負けとしよう」


LJOとは違う。

死は、永遠の別れを意味しない。


永遠の別れ・・・


それを確信していた者達との再会・・・

間違いなく嬉しい状況なのだが。


ともかく・・・この勝負が終われば、リミアとも昔と同じ様に・・・


「それでは──始めて下さい」


月花が、審判を務める。

うん、そうだね、正しい立ち位置だね。


「主よ」


こちらの先鋒は、ユウタ。


ボウッ


ユウタが青い光に包まれ。

その身に、白銀の鎧を纏う。


神の守護者ゴッドガーディアン

その武器、[GR]神授の剣ブレスドソードによりなれる、特殊職業エクストラクラス

騎士系最上位にして、最高司祭アークビショップにも匹敵する奇跡を行使する。


相手の天使が、目を見開く。


「・・・あれは・・・神の守護者ゴッドガーディアン?!ユウタくんは、そこまでの力を・・・流石、シルビアの仲間だね」


フィロが、驚きを隠さず言う。

ソフィアもぽかんとしている。


「・・・凄いです・・・信じられない・・・」


オトメが呻く。

いや、お前知ってるだろ。

何度も一緒に戦ったよな。


ちなみに、ユウタの努力、才能も勿論有るが。

女神様と知り合い、かつ、お気に入りで、褒美として神器を賜った、というのはでかい。


「右に座す存在の御姿・・・相手にとって不足なし。我は、ミシェイル。その力、見せてもらうぞ」


天使──ミシェイルが宣言する。


「僕の名は、ユウタ。人の身でどこまでいけるかは分かりませんが・・・その胸、お借りします」


ユウタは剣を掲げ。

ちらり、とうちの陣営を見て。


ワイン片手にチーズが乗ったクラッカーを口に運ぶメイド様を見て。

メイド様が、くい、とワインを掲げ、振る。


「我が御神の思し召しにより、貴方を討つ。我が全霊の猛撃、捌いて見せよ」


ユウタが神気を強く纏う。


「急にどうした?!いや、御神は、そこまで激しい戦いは望んでないと思うぞ?!」


ミシェイルが狼狽えた声を上げる。

めっちゃわくわくして観戦しているがな。


「ワインをもう少し頂けるでござるか?」


「どうぞ」


オトメが給餌にまわっている。

わくわくして観戦しているのは変わらないが。

と言うか、オトメは、メイド様の正体に気付かない人を見るのを愉しんでいると思う。


「・・・カゲくん・・・それに、メイドさん・・・何だか急に態度が大きくなったと言うか・・・他人事の様に鑑賞していると言うか・・・」


フィロが苦言を呈し、


「ね・・・姉さん・・・お願いですから・・・そのくらいにしてください」


ソフィアが慌てて止める。


「何で私が止められたの?!」


フィロが驚く。

メイド様に干渉するからだろ。

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