第126話 最後の選択

翌日。

なんか気絶した人とか多くて、色々惨事だったから、翌日。

みんな、普段の様子を取り戻していた。


「フェル、改めてお願いするよ。魔族も、戦いを放棄し、俺達と同盟を組んでくれるよな?」


「ええ、約束だしね」


<ニンゲンと魔族が、戦いを放棄しました。魔族は、ニンゲンの陣営に入りました>


フェルが、すっと俺を指差し。


「シルビア、貴方に言う事が有るわ」


「何だ?」


「シルビア・・・私は、貴方が好き」


「俺もだよ」


六王は・・・いや・・・出会った仲間達・・・途中で別れた人達も・・・みんな好きだ。

大切な、友人だ。


いや・・・


友人ではなく、愛しい人もいる。


「あの・・・シルビアさん」


「どうした、トキ?」


「お姉ちゃんは、恋愛的意味で好きと言ってるにゃあ?ラブにゃあ?」


何・・・だと・・・


フェルを見ると、こくり、と頷く。


「フェル・・・その・・・突然言われても・・・反応に困るけど・・・」


今までそんな素振り一切無かったのに・・・


昨日の、アレか。

圧倒的な力を見せつけたから、その恐怖で・・・


昨日も、あの後震えて必死に宥めて・・・気付いたら嫁が増えてたしな。

まあ、その前から気になってたのを、自覚しただけらしいが。


「ううん、それだけじゃないわ」


それだけじゃないの?!


「六王・・・イデア、ミスト、フィロ、リミア、アイリス・・・みんな、貴方の事が好きよ。貴方のお嫁さんになりたい、と思ってるの」


?!


いや、イデアとフィロは知ってるけど!

と言うか、既に嫁だけど!


ミスト、リミア、アイリスが・・・?

顔を伺うと・・・各々、こくり、と頷く。


まじか・・・


いつからだ・・・?


少なくとも、昨日までは違った。

それは断言できる。

昨日のアレが原因か、それとも、俺が異次元にでも来てしまったのか・・・


「だからこそ、問うわ・・・貴方を好きな人がたくさんいる・・・?」


その、意図をはかりかねる質問・・・

俺は、背筋が寒くなる。


どういう意味だ・・・?

誰かを選ばせ、他を殺す?

それとも・・・本当に、リソースが枯渇しているのか・・・?


「フェル・・・どういう意味だ・・・?みんなを・・・殺す気か?」


「何故?!どう勘違いしたらその返事になる訳?!」


いや、万人が俺と同じ反応すると思うぞ?


「お姉ちゃん!」


「トキ、このニブ男に言ってやりなさい」


「お姉ちゃん!みんなを害するなら・・・私は、お姉ちゃんを許さないから!」


「解子まで?!いや、何言ってるの、あんた?!」


いや、だから、おかしいのはフェルだって。

これが・・・魔族の常識・・・?


「ロリア!常識枠の貴方なら分かるでしょ?!」


「いや・・・フェル殿は何をしようと・・・?私は、私の大切な人達を護る。そなたには敵わないが・・・それでも、この命をかけて」


「何でよ?!ああ・・・魔族の常識だと違うのかなあ・・・」


いや、人間の常識からあんたがずれてるんだよ。


「好きな人がいっぱいいて、誰か一人を選ぶ・・・誤解の余地無いわよね?!」


ジェノサイド宣言。


「フェルよ・・・シルビアと想いを共有する者は、私にとってもかけがえのない存在。この身を尽くして護ろうぞ」


「ああもう・・・これは、人間の話なの!神様っぽい存在も黙ってて!」


いや、だから、人間の常識からしておかしいんだって。

蠱毒なの?


転生時に記憶障害・・・?

それとも、魔王化の影響・・・?


俺は、そっと、体内に意識を巡らせる。

フェルが行動を起こしたら、ステータスを書き換える・・・

今度は、1京、1兆の1万倍くらいにしておこう。


「えっと・・・みんな何を言ってるの?フェルが言ってるのは当然の事だよね?」


?!


ミストの爆弾発言。

まさか、ミストも常識改変?!

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