第47話 背景
「こちらから、メモリをロードできそうですが」
壊れた機械の様な物を、オトメがぺたぺたと触る。
「オメガ!」
エレノアが、従魔を呼び出す。
ロボット型の従魔。
ピピ・・・
壊れた端末に近付き、端末が光を明滅させ・・・
「直ぐには読めないですが・・・解読してみますぅ。楽しみ~」
エレノアが嬉しそうに、従魔を撫でる。
(此処はやはり・・・滅びた文明の施設ですね。枯渇する、世界を構成する要素・・・
オトメが、感傷的に呟く。
・・・悲しい運命、か。
それは、女神様の裁きの結果、か?
(いえ、これは。次元侵略者がその世界を構成する
お前等のせいかよ。
(いえ、私達とは別の種族ですね)
色々いるのか。
・・・侵入されると、気付かない内に世界を構成する要素消費されて、気付いたら世界が崩壊していくのか。
凄く嫌だな。
(まったくです・・・発見次第、即駆除が必要な神敵というのも、納得です)
オトメが頷く。
ひとごとの様に言うなよ。
ビッ
「強種?!」
エレノアが警戒の声を上げる。
ガッ
俺がロリアの大剣で受け止めたのは・・・巨大な鉤爪。
大きな口、2本の腕の先には鋭い鉤爪。
口からは何本もの舌が伸び・・・
「これが・・・変容した躰・・・」
「いえ、これはただの、侵略種の
「・・・さいですか」
こっそり隠れて世界の基を吸うだけじゃないんですね。
普通に魔物っぽい感じで襲ってくるんですね。
「侵略種??」
エレノアが小首を傾げる。
ジッ
兵士種の目から光が放たれ・・・
ジッ
エレノアが咄嗟に張った魔法が、光を防ぐ。
光学兵装か。
「
ジッ
オトメが放った光が、兵士種の頭を撃ち抜いた。
ドン
兵士種が倒れる。
(コロニーが見つかれば、直接的に資源の回収フェイズに入ります。兵士種は戦闘を担当する役目・・・防衛や、破壊が主ですね。資源回収を専門にする種をもつものもいれば。兵士種が収集役を担うものもいます)
そうですか。
本当に百害有るな。
・・・地球にはいないだろうな?
「オトメさん強いですねぇ」
「乙女ですから。恋する乙女は強いのです」
「恋する・・・ますたあの事ですか?」
「ふふふ・・・秘密です」
オトメが微笑む。
その後も、資料を収集しつつ、ぶらぶらと彷徨い。
「この世界は面白いですね。ちょっとした背景の様な場所も、色々な歴史が造り込んであって・・・もっともっと、この世界を知りたいですぅ」
エレノアが、のほほんと言う。
造り込んであるというか、面倒だからそのままにしてあると言うべきか。
「このまま魔法職を極める予定でしたが・・・錬金術師も楽しそうですね」
「前作には、
「なるほど・・・そっちも楽しそうですぅ」
「職業スロットが2スロットあるからな。色々試してみると良い」
「はい!」
エレノアは、ふとおもいついた様に。
「そういえばますたぁ、魔法って詳しいですかぁ?」
「詳しくないぞ」
(ばっさりいきますね・・・)
ロリアがツッコミを入れる。
「そうですか・・・残念ですぅ」
「詳しくは無いが、話してみたら何か反応できるかも知れない」
やめるなよ。
「えっと・・・トキさんに教えて貰って、魔方式を組み立てるのは・・・確かに理論的で、正確なのですが・・・」
トキの構築した魔方式。
万人が、等しく、魔法を使う為の理論。
「何と言いますか・・・時々、省略して、直接こう・・・した方が早いと言いますか」
(トキ殿の魔法理論は素晴らしいが。どうしても迂遠な手順は多くなりますね。フェルなんかがやっていたのは、直接的に魔法を発現させていたので・・・発動時間も、威力も、効率も、疲労も・・・段違いでしょうね)
なるほど。
「エレノアの感じる通りだな。トキの魔法理論は素晴らしいが、感覚に頼って魔法を行使した方が、無駄は少ない。エレノアが感じた通り、練習すれば良いと思う」
「そうです・・・万人が使えるようにする為、どうしても遠回りになってしまう・・・のですよね」
エレノアが頷く。
「世界に命令して、無理矢理現象を起こさせるか・・・緻密に魔法式を構築して現象を起こすか・・・直接、魔法現象を構築するか・・・色々な方法が有る。やりやすい様にやると良い」
昔の俺なら、世界も命令を聞いていたが。
今くらいのレベルでは、ほぼ何も起きない。
恐らく、一番無駄が大きい方法だ。
(いや、そもそも、現象が起こせる方が異常なので、方法に含めて良いかどうか・・・)
ロリアのツッコミ。
「多分・・・最後の奴を目指したい・・・気がします!」
エレノアが、自分の手を見つめつつ、そう言った。
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