第25話 下層へ

敵は・・・紅い悪魔。

4000レベルのアライアンス級だが。


ガッ


ミストが次の瞬間、牽制で悪魔に切り掛り、


ジッ


ミストが斜め後ろ飛び退くと同時、フェルの放った蒼い光が悪魔を貫く。

絶命。

かなり早く倒せるようになった。


ドロップは、魔石とUR武具3、SR武具多数、財宝と宝石、金の宝箱。


「??!」


みんなが声にならない声を上げる。


「クラスチェンジしたから、PTメンバーに俺のドロップアップスキルが一部乗るようになった」


「なるほど・・・凄いねこれ・・・と言うか、一部でこれなんだ」


ミストが呻く。


敵の亡骸に近付き、解体。

追加で角やら武具やらがドロップ。


「そもそも、レンジャーが倒せる敵じゃ無いからな。実質的にはこれが限界だよ」


何とか敵の動きは視認できるようになったが。

それでも、躱すことすら出来ないし、攻撃は弾かれる。


金の宝箱からも色々出て、月花が回収する。


--


紅い悪魔が2、白い大蛇が3、黒い大蜘蛛が2。

ミストとリミアが接敵、いなしつつ、フェルとフィロが倒す。

危な気無い戦闘。


俺は敵を掻き回したり、行動妨害したり、落とし穴に落としたり、吹き飛ばしたり・・・いわゆる、賑やかしって奴だ。

居なくても大丈夫。

まあ、PTバフが載ってるらしいが。


「でさあ、あのたぬき野郎・・・また勝手に借金増やしやがってさあ」


「あらあら・・・本当に酷いイベントですねえ」


余裕が有るらしく、ミストとリミアが会話しながら戦っている。

と言うか、ミストは毎日数億稼いでいる筈だが、何故借金出来るんだ?

リボ払いじゃ無いだろうな?

まあ、今日は数十〜百億超えそうな気もするので、大丈夫だろう。


「大分この辺りも慣れましたね。下層に行きましょうか」


フィロが提案。


「警告。下層の適正レベルは6000のアライアンス級です。やめた方が良いです」


月花が警告してくれる。


「危険だな。下層に行くのは止めよう。まだ奥があるし、この階層の探索を続けよう」


俺の指示に、みんなこくり、と頷いた。


--


「適正レベル7000のアライアンス級、ホーリースフィンクスと、適正レベル6800のプロトデストロイヤーです」


スフィンクスと、ゴツい機械。


フェルが放った牽制をスフィンクスが掻き消し、機械が突進。

ミストが機械に貫かれ、リミアの回復が飛ぶ。

回り込んだスフィンクスがフィロを切り裂こうとするのを、何とか俺が割って入り、吹き飛ばしの罠で吹き飛ばす。


「喰らえ!」


閃光と爆音、大量のデコイが詰まったセットを発動、そして、


「逃げるぞおおお」


とにかく仲間を掴んで階段に走る。


・・・


何とか、逃げ切った。


「何で行くんだよ、無理だって言ったじゃないか!」


「行けると思ったんです」


フェルが息を切らせながら言う。


「うん、やっぱり行けなかったね」


「マスターがいるから大丈夫って思ったんです」


リミアが微笑んで言う。


「レンジャーに何を期待してるんだ」


「少し計算ミスをしたようですね」


フィロがドヤ顔で言う。


「はい、そこ、自慢する内容じゃ無いよう」


俺、ツッコミキャラじゃないんだけど。


「もう1回行こうか」


ミスト。


「おかしい。行くな」


別に、階層移動すれば敵が追いかけて来ないとは限らない。

出来れば此処を早く離れたい。


「今、内容、と、無いよう、を重ねましたね。これはいわゆるギャグと言う」


月花が妙な所に喰い付く。


「今その指摘いるか?!」


流せ。


がく、膝をつく。


「大丈夫?揉む?」


フェルが疲れた俺に肩を揉ませようとする。


「何でだよ。とにかく、距離を取るぞ」


そう宣言。

流石に、今度はみんなついてきた。

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