第18話 リヴァイアサン討伐隊
街に着くと、初期装備のキャラがうろうろしている。
・・・コモンとは言え、装備が揃っているのは不自然だったか?
まあ、貰った事にしよう。
各所で、初心者支援、若しくは、囲い込みが盛んだ。
初心者育成からの、ギルドメンバーの勧誘。
他のゲームでも、一般的な流れだ。
NLJOではどうか分からないが。
・・・大抵は、純粋な親切心で、その後のギルドへの参加等は任意だが・・・
酷い所だと、ギルドへの所属強制、ギルド行事や戦闘等への参加強要。
また、異性への交際の強要、といった可能性も有る。
最初に誰に助けて貰うか・・・これは、ネットゲームにおいて、将来を決め得るような・・・重要な選択だったりする。
さて、どうするか。
何処かに所属するのも悪くないのだが。
前作では、結局、他人のギルドに参加して、って事は無かったからな。
いきなりギルド参加は重いな・・・
「初心者さん、色々教えますよ〜」
ふと見ると、低レベルのキャラと、少しマシなレベルのキャラが、固まって座っている。
少しマシなレベルのキャラが、シャウトをしている。
あれは・・・初心者支援PTかな?
行ってみるかな。
上部に名前が表示されている。
ライト、か。
「おはよう御座います。はじめまして」
「おはよ〜」
ライトが気さくに挨拶を返す。
「色々教えて頂きたいのですが、お願いできますか?」
「勿論だよ。まず、PTに誘うね。PTチャットで色々教えているんだ」
「お願いします」
街の中が静かに思えても。
実際には、多くの会話が飛び交っている可能性がある。
今は、PTチャットで会話していた訳だ。
PTチャットは、周囲のPTメンバーだけが聞こえる会話。
離れたPTメンバーにも聞かせたい場合は、PTシャウトを使う。
<PT『リヴァイアサン討伐隊』から加入申請が来ました>
初心者支援PTだよな?
OK、と。
<PT、『リヴァイアサン討伐隊』に参加しました>
PT情報を表示してみる。
ライト ニンゲン 男 Lv.72 ナイト Lv.24
レイ ニンゲン 女 Lv.1 アコライト Lv.1
ユウタ ニンゲン 男 Lv.1 アコライト Lv.1
サクラ ニンゲン 女 Lv.1 ファイター Lv.1
エレノア ニンゲン 男 Lv.1 メイジ Lv.1
トキ ニンゲン 女 Lv.1 マーチャント Lv.1
カギロイ ニンゲン 男 Lv.1 ファイター Lv.1
全員、ニンゲンか。
他にも入っているようだが、此処にはいない。
固定PT、PTを解散せず、ギルド代わりに使っているのだろう。
(今作から、種族はニンゲン以外選べなくなった様ですね)
そうなのか。
「初めまして。私はカギロイです。ファイターです。よろしくお願いします」
PTチャットで挨拶をする。
「ナイトの、ライトだ。第3次βテストからプレイしている。分からない事が有れば、何でも聞いてくれ」
(第3次βテストからプレイしているのに、そんなにレベルが低い理由が分からない。ご主人様はそう仰っています)
言ってない。
オトメの無茶振りにつっこんでおく。
ライトは、オーソドックスな、フルヘルムにフルプレートの見た目。
顔は分からないが、声は若い。
「こんにちは!アコライトのレイだよ!よろしくね!」
レイが元気に挨拶する。
透き通った桃色の髪。
活発そうな印象の、ショートヘア。
アコライト標準の、白いローブを着ていて、それが似合っている。
「初めまして、ユウタです。僕もアコライトです」
穏やかな好青年。
清流を思わせる、透き通るような青い髪を、腰まで伸ばしている。
こちらは、黒い服に着替えている。
防御力は、初期服とあまり変わらないようだ。
「サクラだ。同じファイターだな。よろしく」
燃え盛る様な赤髪。
腰まで伸ばしているが、乱雑に伸びている感じだ。
少し肌が露出するタイプの、ブレストプレート。
動きやすさ重視の様だ。
「エレノアです。メイジですぅ」
穏やかに挨拶する。
明るい緑色のショートヘア。
やはり初期装備のローブ。
服に着られている印象を受ける。
「トキだにゃあ。非戦闘職の商人だにゃああ」
テンション高!
ロールプレイ、口調を演じているタイプ。
白髪のショートヘア、猫目。
そして・・・詳細は分からないが、結構レアリティの高い武具を身に着けている。
(武具の解析が完了しました。レポートを参照しますか?)
要らない。
オトメにつっこむ。
そんな情報は必要じゃない。
それにしても・・・昔、友人に同じ語尾の娘がいたので、少し感慨深い。
友人と・・・そして多分、従魔と。
(不躾な輩ですね。消しますか?)
消さないよ?!
ロリア、そういうキャラじゃ無いよね?!
「にゃ、カギロイさんが面白い顔をしてるにゃ?」
やばい、ツッコミの影響が顔に出ていたか。
「ははは・・・よろしくお願いします」
俺は、再度頭を下げた。
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