第48話 蒼天の槍、碧山の盾

「警告が有るのに、適正レベルじゃない人が行く方が悪いよね。それに、高レベル武具が有るおかげで、高効率でレベリング出来る人達がいるんだよ」


・・・まあ、こういうゲームって、基本的に後から始めた人が有利に進められるんだよね。

情報も有るし、高レア武器も安くなるし。


「敵に対してどのくらい苦労するか、で経験値が変わるので、高レベル装備で敵を倒すと、経験値が少ないですけどね」


月花がぽつりと言う。

ちょ。


フィロが、無言で本を並べる。

さっきの、円環蛇が描かれた本、南国っぽい無人島が描かれた本、宝石がたくさん描かれた本、沢山の死霊が描かれた本・・・・


「時の神殿が、一番お勧めかな。到達推奨レベルが10万。他は50万とか100万とかなので、お勧め出来ない」


10万でもきついんですが。


「・・・3倍かかるリュケイオンはともかくとして、コキュートスの未踏破領域とかで良いんじゃ無いのか?」


ログアウトも出来るし。


「個人的には、この常夏の島が良いわ」


フェルが南国っぽい本を指す。


「海神の眠る海底神殿が待つ地、アトランティス。到達推奨レベルが百万、推奨レベルが1千万、時速は1倍ですね」


月花の解説。

無茶言うな。


「煉獄城にするからな」


「「「「「えええ?!」」」」」


メンバーから不満の声が上がる。

何でそんな所に、って文句だろう。


「地下に、更に隠し通路見つけてな。推奨レベル8万。まあそれなりの狩場だ。もう、ログアウト出来ない様な場所は、無し、だ」


で、煉獄城に向かった筈が・・・何処だ、此処?


「煉獄の庭、ムスペルヘイム、ですね。進入条件、煉獄城の守護者に認められた者がPTに存在する事。進入方法、煉獄城のマップに進入時、自動転送」


月花が解説する。


バカ野郎。


--


「攻城戦?」


「はい。流行りに乗って、導入したようです」


月花が答える。

アジトのテラスで、ティータイム。

ギルドメンバーが集まっている。


「ふーん・・・どのギルドが強いんだ?」


「2位と3位を、蒼天の槍、碧山の盾が争っています。構成メンバーが4桁・・・文句無しに最大規模の2大ギルドですね」


1位はどうした。


「1位は、このどちらかのギルドが取ることが多いですね」


「なるほど」


「私も調査の為潜入しましたが、その時は別のギルドが1位になっておりました」


イデアが報告。

なるほど、そこまで圧倒的でも無いらしい。


「私が参加した時もだね」


ミストが言う。

イデアの時と同じギルドだろうか。


「私の時も、そのどちらでもなかった」


フィロ。

群雄割拠か。


「その2大ギルド以外には、何処が強いんだ?」


至高の六王ヘキサグラムが参加している時は、大抵そこですね」


「うちじゃねえか」


そりゃお前等が出たら、何処も勝てないよ。


「偵察よ、偵察」


フェル。


「様子見、だね」


アイリス。


「警告です」


イデア。

警告?


「調査だよ」


フィロ。


「私は争い事は苦手なので、参加しないですね」


リミア。


「なるほど・・・」


そう言えば、


「このゲーム、死んだらリアルでも死ぬって設定だったよな。攻城戦とかPvPってどうなるんだ?」


「死にません。ただし、1日の行動ペナルティがつきます」


攻城戦も、一度やられたら復帰出来ないのか。


「次は、至高の六王ヘキサグラム全員で参加ね!」


フェルが言う。


「やめてやれよ・・・」


「私も困ります・・・」


リミアも困った顔で呟いた。

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