第79話 何でもはしません
チャッ
カゲが刃を突き付け、巨人は動きを止める。
「さあ、ご主人様、今です!」
月花が告げる。
・・・
「ま・・・待って下さい!」
雲海から顔を出した女性・・・いや、人魚が叫ぶ。
「お父様を・・・オールドロウを見逃して下さい!」
パシッ
ルナナが放った光が人魚を撃つ。
殴られた様な音を発し、吹き飛ぶ人魚。
おい。
「ま、待って下さい。もしお父様を助けて頂けるなら・・・何でもします!」
「ん?」
今、何でもするって。
ヴァリッ
月花の放った電撃魔法が人魚を撃つ。
黒焦げになって、涙目になっている。
何故死なない?
「すみません・・・何でもはしませんが、従魔になります・・・」
「間に合ってます」
「そこを、そこを何とかっ」
「じゃあこの兎に勝てたら考える」
「うさぁ!」
うちで最強だしな。
ルナナと人魚が・・・
ぽかぽかぽかぽか・・・
人魚がルナナをぽかぽか殴り、ルナナがぴーぴー逃げ回る。
「きゅう」
ルナナが倒れる。
「勝った・・・勝ちました!」
「考えた結果、駄目」
ちゃぷ・・・
人魚が水面──雲面を揺らす音が響く。
「ひ・・・酷く無いですか?!」
「じゃあ、カゲと戦って勝ったら考える」
カゲなら八百長はせんだろう。
「はいっ!」
元気に叫ぶと、カゲの方を向いて、頷く。
カゲも、人魚に向かって頷く。
「メイルちゃん、頑張って!」
月花が応援。
やはり知り合いか。
尚、巨人はフェリオがころころ転がしている。
「・・・いきます!」
人魚がカゲに向かい・・・ふらあっと槍を振りかぶり、カゲに向けてのばす。
ブッ
当たる直前、カゲが消え、
フォン
人魚の背後から、刃を閃かせ、
ヒュン
人魚が消え、少し離れたところで無数の魔法陣を展開、魔力槍を射出、
フッ
カゲが踏み込み、一部魔法を切り払いつつ、
カッ
カゲの刃を、人魚が受け・・・
カッカッカッ
最早見えない。
流れる様に真剣勝負が始まった。
火花があちこちで光り、
ふら
カゲが足をもつれさせ、
人魚が槍をカゲにのばし、
チッ
カゲの刃が人魚に向けられ、紙一重で止まる。
双方、停止。
「それまで。カゲの勝ちだ」
俺が強い声音で告げる。
「な・・・何でですか?!勝たせてくれるはずですよねっ」
「拙者は主命に従うのみ、でござる」
「と言うか、八百長白状しやがったな」
さて。
「従魔の話は無し、巨人も倒すぞ」
かぷり
ぶわっ
フェリオが巨人に噛み付く。
吹き上がるドロップ・・・ドロップの質が低い。
雲から引き上げたら、レベルまで低下したのか?
######################
エリアボス、オールドロウが討伐されました。
封印の間が開放されました。
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これこれ、巨人倒さないと進めなかったんだよね。
「従魔・メイルを得ました」
人魚が告げる。
「放棄しました」
得ねえよ。
「でも・・・私を従魔にすると、この鍵を入手できますよ?」
「俺、解錠は得意なんだ」
「ほら・・・私、美人だし、ないすばでいですよ」
「間に合ってます」
美人に囲まれてたしな。
「カゲの方が美人で、大きいですしね」
「月花殿?!」
月花が適当ふかす。
カゲの素顔は見たことないし、そう大きくは見えない。
さて・・・行こうか。
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