第80話 見学ツアー

カタカタカタ・・・


メイルがコンソールを操作して、ゲートを起動させる。


「旦那様、準備が整いました」


メイルが告げる。

いつの間にかPT情報にメイルが追加されているし、PTスキルものっているようだ。

従魔、とやらは、俺に拒否権無いのか?

そもそも、何体までいけるんだ?


「従魔、は、人によって連れて歩ける数が決まっています。1体が上限の人が多いですね。ステータスの、従魔、のところの数字の、右側が上限です」


従魔:6/FFFFFF


「ひー、ふー、みー・・・6/6。これで上限らしいな」


数字じゃない件。

まあ、これ以上は増えないらしい。


メイルは、空中を泳ぐ様に進む。

そもそも、雲海って海じゃ無いしな。


ガシャン


ガーディアンロボット達が行く手を阻む。


ザクザクザシュ


従魔達があっさり蹴散らす。

吹き上がるドロップ。

巨人より出が良いな。


「レベル百万程度なので、足止めにもなりませんね」


月花が告げる。

いや、十分強いんじゃないのか?


カタカタカタ


メイルがコンソールに何か入力し、


フォンッ


時々月花が何か魔法を使い、


「これで・・・クリアか」


3日でダンジョンクリア。

悪くないペースだ。


「さて、戻ろう」


脱出ゲートへと足を向けた。


--


「探検ツアー?」


「うん、探検ツアー。ふざけているよね・・・」


ミストが溜め息と共に言う。


人類は優勢、街の防衛は失敗する事が激減。

反撃の準備も進められている。


新たな参加者も順調に増え、最初の街にて、適正に合った職業を言い渡される。

尚、死者は減ったのに新規参戦者が増えているのは、徐々に上限が増えているからだ。


・・・良い状況なのだが。


「無視出来ないのか?」


俺の問いに、


「残念ながら・・・」


ミストが首を振る。


お偉いさんが無茶を言い出したらしい。

ダンジョンや、巨大魔物、景勝地等を見たい、と。

・・・まあ、俺が提供した情報は多いのだが。

次点でスレイが作っていたギルドだ。


「今も、聖墓ダンジョンの見学ツアーに行ってるみたい」


「観光だなあ・・・」


聖墓ダンジョン。

超大型ダンジョンで、迷宮都市ラビリンスの近郊ダンジョンだ。

低階層に理想的な狩場や景勝地があり、凄く人が多い。


「しかも、未到達領域」


「なっ?!」


人気狩場なのだが・・・未攻略ダンジョンだ。

21階層からは一気に推奨レベルが上がり、その推奨レベルは百万を超える。

ちなみに、俺が挑戦していないのは、人が多いのが嫌だからだ。


「・・・大丈夫なのか?」


「入口だけだし、スレイ含む精鋭10人程で護衛しているから、大丈夫だとは思う」


ミストが沈痛な声音で言う。

濃い疲労も滲ませて。

そこまでの戦力を浪費するとは・・・

本当に面白く無い世の中だ。


「あ」


月花が不意に声を漏らす。


「どうしたの、月花ちゃん」


ミストが尋ねる。


「スレイが死にました」



・・・え?



口の中が、意味も無く乾燥する。

背筋がボワッとなり、単語が頭の中を駆け巡る。

汗が・・・体中から・・・手が・・・滝の様に。



何・・・だって・・・?



「え?」


声が漏れる。

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