第65話 受け取って下さい!

それにしても・・・


「結構難易度高い所を選んだんだが、敵が少ないな」


「でも、これ以上の難易度となると・・・レジェンドダンジョンになるにゃあ?」


「レジェンドダンジョン・・・行きたい、行きたい、行きたい!!」


レイが反応した。


「レジェンドダンジョンか・・・滝の裏の秘密基地、なら、推奨が2万・・・まだマシだろうか」


「・・・最低で2万ですか・・・?流石に高いですね・・・あと何ヶ月かかるか・・・」


ユウタが、慄く。


「やり方によっては、一回の行動で5,000とか上がるからにゃあ」


「「「「?!」」」」


サクラ、レイ、ユウタ、エレノアが絶句する。

5,000っていうのはあくまで低めに言っただけだから、やろうと思えばもっと上がる。


「レジェンドダンジョンか・・・今度は候補に入れるよ。綺麗な所が多いしね」


星見の洞窟とかが、綺麗さと難易度のバランスが良いんじゃないだろうか。

10万も有ればいける筈だ。

推奨は30万くらいだけど。


トキに教えた様な、かすりボーナスは、一歩間違えば死ぬので教えていない。

理論よりは、感覚的なセンスが必要になる。

恐らく、レイならいけそうだが・・・しばらくは基礎だな。


--


「にゃあ・・・ふふふ」


湖畔、お気に入りの場所で、トキとすごす。

湖畔に腰掛けた俺に、トキがもたれかかっている。


そっとトキの頭を撫でると、ごろごろ喉を鳴らす。

ネコ。


「ただいまー!」


レイ達がクエストから戻ってきた。


「おかえり」


最近、レイ達は、良くクエストにでかけている。

他にも、良く分からない宝石を拾ってきたり。

楽しそうで何より。


「5,000ポイントは稼いだよ!そろそろ集める?」


「ん?ポイント?集める?」


俺の疑問に、レイが小首を傾げる。


「シルビアさん──」


トキがこっちを見て、


「ポイントって何にゃ?」


「レイに聞いてくれ」


「「「「えええ?!」」」」


サクラ、レイ、ユウタ、エレノアが叫ぶ。


・・・え?


「そう言えば気になっていたのだが・・・シルビア殿とトキ殿は、ポイントを集めないのかな?」


ロリアが尋ねる。

あれ、何か一般常識っぽくなってる?


「御主人様のポイントは・・・0になっていますが、これは偽装とかではなく、0なのですか?」


月花が尋ねる。


「ポイントというものが何か分からないから、ゼロだな」


レイは困った様に、


「とりあえず・・・私達が集めた分、受け取ってくれる?」


「とりあえず、拒否していいか」


何でだよ。

ポイント渡される意味が分からない。


「そもそも、そのポイントって何だ?」


「・・・本当に知らないんですね。まあ、御主人様なら、今からやっても、その気が有れば大丈夫だとは思いますが」


月花は溜め息をつくと、


「簡単に言えば、もっともポイントを稼いだ人を、人類の王にしますよ、ですね。人類の代表者を決めるイベントです」


「ちょ」


「NLJO内での話で、また、他者に対する絶対命令権が有る訳でも無いですが・・・どうです、やりませんか?」


「やらない」


何その面倒そうなこと。


「ますたああああ!受け取って欲しい!!」


「絶対嫌だ」


「何で??!」


レイは叫ぶと、ぺたぺたと俺を触り・・・ぷくっと頬を膨らませる。

何で、じゃない。

人類代表が何をするのかは知らんが、そんな面倒な事をしてられるか!


「移せないよ?!」


「ポイントの譲渡は、お互いの同意が必要です」


月花が淡々と告げる。


「だいたい・・・人類代表なんて、ソフィアがやれば良いだろ?」


と言うか、既に動いているだろ?


「ソフィアは駄目ですね」


月花が首を横に振る。

そうなのか?


「今は、ほぼ睡眠も取らず、リアルで色々動いているようです。その姿は、さながらゾンビ。NLJOに関わる余裕はありません」


「何があった?!」


「ソフィア、何があったにゃ?」


リアル・・・家庭か、会社か・・・?

ソフィアは既婚者で、総合商社の社長、及びグループの総裁をしている。


「ソフィアの会社関連、何か有るのか?」


俺は、サクラに尋ねる。

最近は、仕事は、俺がやってた事をほぼサクラがやっている。

俺がサボりたい、というのもあるが・・・純粋に、サクラが優秀なのだ。

ちなみに、トキの会社は、レイがほぼ引き継いでいる。

夢守商事のグループに入り、サクラと共同でやっているようだ。


「最近は、競合企業に押され、業績が振るわねーようだな。その影響もあってか、六英雄の政治力も低下・・・なかなか厳しい状況のようだな」


「・・・復興期は、六英雄の求心力を利用したが・・・そろそろ解体したい。俺としては悪い状況では無いが・・・ソフィアもそれは分かってると思ったんだがなあ」


「六英雄は・・・アーサーのスキャンダルと・・・続く、ポラリスのスキャンダルで、人心が離れましたしね」


ユウタの補足。

ちなみに、ユウタとエレノも、会社を手伝っている。


結局、エリアちゃんは、ポラリスの篭絡に成功したのだろうか。

ポラリスは・・・どんな業種だったかな。


ひょっとして、ソフィアの会社のシェア奪ってるの、エリアちゃんじゃね?


「最近、ソフィアとは会って無いからにゃあ・・・」


トキが困った様に言う。

ちなみに、最近トキは、四六時中、俺と一緒にいる。


月花が、ふと思い当たった様に、尋ねる。


「・・・そう言えば、御主人様。トキさんとの挙式は何時にされるのですか?」

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