第66話 憔悴

挙式。

俺とトキは、順調に婚約。

大々的にはやらないが、一応、結婚式も行う。


月花とかは現実リアルには来れないので、NLJO内でも別途挙式する予定だ。

・・・一応、可能なら、という形で、女神様も招待した。

もし招待せずに機嫌を損ねたら、恐ろしい事になる。


現実リアルでは、来月の2週目だな」


NLJO内では、現実リアルの後だ。


--


「にゃ!」


トキが、防御を、極めてな魔力の使い方で、敵の防御が箇所を攻撃する。


そこからの奇跡的なトゥルークリティカル。

敵を一撃のもとに葬る。


「今のは・・・かなり上手くいったんじゃないか?幾ら上がった?」


「にゃあ!4万も上がったにゃ!」


「ほう、調子良いな」


最近は、トキのレベル上げに専念している。

例のポイントは、クエストの他、MVPボスの討伐、イベントの結果、ダンジョンの制覇・・・色々な要因でつく事が分かった。


0ポイントはもう無理だが・・・可能な限り、ポイントは獲得したくない。

まあ、意図的にポイントを狙った方が効率が良いので、俺が普通にプレイしてても、勝ってしまうような事はないとは思うが。


「あ、ますたあ、見つけた!!ポイント貰って下さい!」


「断る」


「何で?!もう30万ポイントも稼いだのに?!」


「人類の代表なんてやりたくないから。代表なんて、やりたい奴がやれば良い」


・・・ソフィア、早く立ち直ってくれ。

尚、おそらく、次点の候補はトキなのだが・・・トキは、俺に付き合ってくれている。

そうなると・・・ポラリスやアーサーや・・・そのあたりだろうか?


(レイは結構健闘しているうさぁ。レイが人類代表を勝ち取る可能性は十分有るうさぁ)


まあ、俺で無ければ誰でも良い。


「ますたああああ!ここにいたぁあああああ!」


レイが駆け寄って来る。


「おお、レイ。どうしたんだ?」


目的の想像はつくが。


「ますたああああ、ポイント受け取って!」


「断る」


「ががーん?!」


レイだけじゃない。

うちのギルドメンバーや・・・更には、ポラリス、アーサー、ムサシにアリス・・・六英雄まで、俺にポイントを渡そうとする。

どうしたものか・・・


「引き受けてはどうでしょうか?」


女神様・・・もとい、メイド様が尋ねる。

疑問なのか、命令なのか分からないが・・・前者と解釈。


「人類の代表は、やりたい奴がやれば良い。別に、人類への強制命令権が有る訳でもないし・・・代表になれるってことは、人望が厚いか、NLJOが上手いか・・・少なくともどちらかなのだから」


エリアちゃんが人類代表、ワンチャン有るな。


「にゃあ・・・ソフィアは本当にどうしたにゃあ・・・?」


「それな」


まず、ソフィアをどうにかすべきか・・・?

エリアちゃんの会社にシェアを奪われたんだっけ。


メイド様が、ため息をつく。


「せっかく、色々とイベント企画しているようなのですか・・・」


全力で不参加を決めさせて貰おう。


「うさぁ、ワールドワイドでクリスタルの収集、闘技大会、攻城戦、ダンジョンのタイムアタック・・・スケジュールを見るとざっとこんなところうさぁ」


「・・・ちょっと面白そうだな」


「・・・貴方の従魔は、何故それを知っているのでしょうか?システムにアクセスできるのですか・・・?」


メイド様が訝しげに問う。


「さあ・・・ルナナは、昔からシステムにアクセスしていたからなあ」


「うさぁ」


メイド様が絶句し、


「ルナナ・・・?いつの間に・・・消えたのではなかったのですか・・・?」


「うさぁ・・・ほぼ消えたと言っても過言では無いうさぁ・・・性格と魂、根源とスキル・・・そういったものしか引き継いで無いうさぁ。レベルもステータスも、リセットされたうさぁ」


「・・・モフモフよ、それはほぼ、受け継いでいるのでは・・・」


ロリアが半眼で突っ込む。


「更に、その後もイベントが目白押しうさぁ。トップ8での頂上決戦・・・人類代表の決定・・・そして異種族との交流戦!」


異種族との交流戦?


「ちょ、ルナナよ!それはまだ・・・!」


メイド様がルナナを押さえる。

何かあるのだろうか。


ん・・・?


「シルビア殿・・・此処でしたか・・・」


ゆっくりと近付いてくるのは・・・噂をすれば影、ソフィアか。


「ソフィアか。久しぶりだな・・・やつれたな」


何があった。

ソフィアには生気が無く、目の下には隈・・・

リアルで疲れていたと聞いたが・・・ゲーム内に反映されるのか?


「シルビア殿・・・お久しぶりです・・・」


ソフィアは、天を仰ぎ、沈痛な空気を纏うと、


「すみません、シルビア殿・・・貴方には頼るまいと思っていたのですが・・・我々の力では限界でした・・・どうか・・・お力をお貸し下さい」


エリアちゃん、か。

少し前は、どうにかしようとしていたが・・・トキに止められて、動画を削除した後は・・・

正直、追跡すらしていなかった。

そして、他の企業の動向すら、最近は確認していない。


トキとすごすのが楽しくて・・・何も手に付かず・・・

正直に言えば、そうなる。

自分でも驚いているが・・・


「話を聞こうか」


エリアちゃんが、何をしたのか・・・

下手に知ったかぶりをするよりは、ちゃんと説明して貰った方が良い。

俺は学習するおっさんだからな。

下手な事は言わない。


「その前に・・・トキさん・・・席を外して貰えますか?」


「?!」


トキが驚きの表情を作る。

俺も同じ気持ちだ。


トキとソフィアは親友の筈・・・

何故・・・?

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