第11話 巻き込み

さて、どうするか。


「獲得したアイテムやお金は一旦隔離しておいて、後で分配で良いか?」


「うん。こっちは構わないよ」


フェルが頷く。


「では、改めて行こう」


--


パスッ


フェルの放った真空波が、騎士を切り刻む。

ドロップアイテム、鎧のかけら。


ドスッ


俺の放った薔薇槍が騎士を貫く。

ドロップアイテム、宝石と魔石とSR槍とかけら幾つか。


・・・思ったより、知識って効果有るんだな。


「何だか、攻撃したくなくなってくるね」


フェルが呻く。


「敵を倒すしか脳が無いのに何を言ってるんですかね」


月花が呆れた様に言う。


「いや、フェルが居ないときついよ。複数来たら俺では辛いからな。フェルが居て助かってるよ」


「そ、そうかなあ、えへへ」


フェルが嬉しそうにする。


「・・・ちっ」


月花が何故か黒い。

多分、魔石お預けになってるからだと思う。


「・・・フェアリーさ、キミ、確かにアイテム運搬は凄いけどさ。攻撃には参加出来ないじゃん?もう少し態度を小さくだね」


フェルがむくれて言う。


「はい」


月花が放った風の刃が、ポップした鎧を切り刻む。

魔石、SR弓、かけらがドロップ。


「・・・??!」


涙目で声にならない声を上げるフェル。


「月花は戦えるぞ。従魔扱いだから、経験値分配なので特に戦う必要は無いけど。知識は主人のが乗るみたいだな」


とは言え、ドロップごと燃やすとか、破壊不可の筈の床や壁を溶かすみたいな異常な事は出来ないので、やはり攻撃力に圧倒的な差はある。


「やっぱり攻撃やめようかな・・・」


「いや、戦ってくれ」


早くクリアしようぜ。


--


モンスターハウス。

未踏破のダンジョンでは、時々ある。

部屋を埋め尽くすほどの敵がいる。


ヒュヒュヒュ


フェルの手から複数の光が飛び、ぶつかった敵が感電、死亡する。


複数攻撃と言うより、単体魔法を超高速、連続で使用しているようだ。


「ん。ボスまでは楽に行けそうだね。ボス部屋に行ったら注意しよう」


「いや、多分、真ん中で死んでるのがボスだと思うけど」


「あ」


ボス部屋がモンスターハウスになっているのは、あるあるだ。

気づかないままボスまで倒せるのは初めて見たけど。

戦闘職強過ぎじゃないか?


月花がドロップをかき集める。

魔石は無し、か。

本当にレンジャー以外だと出ないんだな。


「ラス宝箱は・・・虹か」


「虹なら、持って帰って開けて貰う必要があるね」


「いや、開けられるよ」


解錠成功率は100%だ。

尚、盗賊系だと虹は上限90%なので、お持ち帰りだ。


中から・・・


UR杖が2、SR兜が1、各種ポーションに財宝、UR指輪が1か。


「・・・すご・・・!大当たりだね!」


「え?そうか?」


・・・


「え、レンジャーって、箱開けた際に中身良くなるの?」


フェルが呆然として尋ねる。


「正確には、宝箱が出現するタイミングで、ですね。今回の場合は、部屋に足を踏み入れた時に確定しました」


「・・・宝箱の中身も変わってたのか」


レンジャー、意外と悪くないんじゃ。


月花にアイテムを出してもらい、積む。


「さて・・・どう分けるか、だが・・・」


適当に欲しい物を取ったあと、残りを売り払って分ける事になった。


「こんなに収穫が多かったのは初めてよ」


フェルも嬉しそうだ。


フレンド登録をして、フェルと別れた。

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