第12話 嘘ですね

キングリザード。

この辺りに生息するハズレモンスターだ。

狩り場レベルに対して、異常に高いレベル・・・そして狩り場に見合った経験値。

ドロップアイテムも、大した物は出ない。


それを、俺は探し、狩っていた。


無論、ただの趣味、では無い。


安い討伐クエスト、そして、レンジャー特有のドロップだ。

魔石が出れば美味しいし、解体すれば美味しい肉が手に入る。

強さも、倒せない程ではない。

昨日からハマり、既に数十体狩っている。


「ご主人様、もっと美味しい敵を狙いませんか?」


月花が提案する。


「でも、月花、魔石美味しいって言って食べてたろ?」


「魔石はレベルに見合った物が出ますからね。でも、5体に1個出たら良い方じゃないですか?」


かなり高確率だと思うのだけど。


ガアッ


キングリザードが2体。


チャッ


薔薇槍を構え──


「危ない!」


横から割って入った女性が、キングリザードを蹴り上げ、倒す。

何処かで見たパターンだ。


「大丈夫ですか?1匹でも大変なキングリザードが2体も・・・運が悪かったですね」


ニコッと笑顔を向けてくる少女。

白い装束に身を包み・・・しかしところどころ肌が露出している。

露出が多い衣装は人気なのだろうか。


慈愛に満ちた顔立ち、ウェーブのかかった柔らかそうな金髪。

さっきの動き・・・モンクだろうか?


「有り難うございます」


帰れ、放っておいてくれ。

そう思ったが、とりあえず御礼を言っておく。


「もし宜しければ護衛をしましょうか?今日お会いしたのも神の思し召しです」


にこにこ微笑んで言う少女。


「・・・結構です。一応私はそこそこのレベルで、此処にキングリザードを狩りに来ていました」


正直に言う事にする。


「あ、高レベルの方でしたか。すみません」


ぺこり、と少女が頭を下げる。


「申し遅れました。私はリミアと言います。貴方は・・・その槍、ランサーさんでしょうか?」


これ、レンジャーとか名乗ると、興味持たれるパターンだろうか。


「はい、ランサー3次の、シルビアと言います」


「嘘ですね」


ひゅるー。


荒野を風が駆け抜ける。


リミアが慌てて、手をばたばたさせる。


「ああっ、すみません。つい、看破が働いてしまいました。・・・でも、今のは嘘ですよね」


「・・・ご主人様・・・彼女は聖職者系・・・偽証看破のスキルが有るようです」


月花が呆れた様に言う。

知らんがな。


「・・・すみません。私の職業はレンジャー系3次職です」


「レンジャー系・・・!非戦闘職じゃないですか!非戦闘職でキングリザードを倒せるなんて凄いです!」


リミアが駆け寄って、俺の手を握る。

距離が近い娘だ。


「ご主人様、全裸よりも恥ずかしい格好をした女性に近寄られたからって、鼻の下を伸ばさないで下さい」


ちょ。

月花がとんでもない事を言う。


リミアが後ずさり、胸を隠す様にしながら、


「な・・・これは・・・神聖な服で・・・防御が高いから仕方が無く・・・決して恥ずかしい服では・・・無いです」


「そうだぞ、俺は決して邪な目では」


「嘘ですね」


く・・・看破め・・・

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