第119話 浦島太郎状態

「・・・まったく、してやられたよ・・・まさか、最初から全て計算通りなのかい・・・イデア」


アイリスが、頭を掻く。


「あ、お構いなく」


カゲが手で押し留める。

構うと思うよ。


「アイリス、同盟の件だが」


「ああ、勿論受けるよ。そもそも、別に同盟が嫌だった訳ではないしね」


<ニンゲンと半精霊が、戦いを放棄しました。半精霊は、ニンゲンの陣営に入りました>


さて・・・


「あと1種族、か」


俺が、溜め息と共に言う。


「最後の1種族の代表は、『あの』フェルだろう?まだ道半ば・・・いや・・・」


アイリスがぼやき、


「まだチュートリアルが終わって・・・これからが本番・・・かな?」


フィロがうんざりとして言う。

もう、このままで・・・6種族同盟のままで良いんじゃないか?


「共有領域で魔族はちらほら見かけるからね。フェルとは会ってないから・・・私達が揃うのを待ってた・・・んだろうね」


ミストが言う。


「お姉ちゃん・・・戦いは・・・避けられないよね」


トキが、項垂れて言う。


「フェルさんが、魔族の代表・・・それは確かなのですか?」


リミアが尋ねる。


「それは、間違いないでござる。魔族の友人と接触して確認したでござるよ」


カゲが答える。

友人・・・もう友人ができたのか。


「魔族か・・・カゲ殿の友人と、私も会ってみたいものだな」


ロリアが言う。

ロリアは元魔族、気になるのだろうか。


「フレアと、でござるか?何故?」


「是非会わせてくれるかな?!!」


先程とは打って変わった勢いで、ロリアがカゲに詰め寄る。

フレアは、ロリアの生前の妹、最愛の存在。

LJOでも、姉妹だった。

途中から、フレアは俺の従魔になっていたので、同じく俺の従魔もどきだったカゲとは、仲がいい。


「どうするか・・・悩みどころでござるな・・・」


会わせてやれよ。

ロリア、ショックを受けてるぞ。


ともあれ・・・フェルに接触して・・・みるか。


--


「はっ!」


ユウタの斬り込み。

アイリスは、軽く受け流し、


ゴッ


蹴りつけ、ユウタを吹き飛ばす。


「動きが単調で、読みやすい。もっとフェイントを入れた方が良いよ」


アイリスが、ユウタの指導。

最近、ちょくちょく、手合せや指導が行われている。

アイリスの指導は分かりやすいので、人気だ。


ミストも強いが・・・超感覚的だからな。


カッ


トキの攻撃を、カゲがいなす。


「良いでござるな、仕上がってる、仕上がってるでござるよ」


「やっ!」


差が圧倒的過ぎて、良いのかどうか分からん。


アリスとリミアが再戦したら、リミアが圧勝した。

ヒノコ様の言った通りだ。


フィロとソフィアは、フィロの圧勝。

六王は、やはり、頭幾つか出ている。


俺とアイリスも剣で戦ったが、戦いにすらならず、当然負けた。

弱くなったね、じゃねえ。

お前が強過ぎるんだ。


「でね、此処にこのオプションを取り付けようと思うんだ」


「や・・・室外機はエアコンとセットで取り付けるものであって、廊下に並べる物ではなくて・・・」


「そうなの?!日本も変わったね・・・浦島太郎状態だよ・・・」


「いや、それは数十年前からずっとそうで・・・まあ、室外機が無い物が最近は主流だけど・・・」


「本体が無いの?!」


「いや・・・本体はあって・・・」


ミストが、サクラに、リフォームの相談をしているらしい。

まあ、サクラに任せておけば、変な事にはならない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る