第94話 隷属する契約

そう言えば・・・

LJOの頃、俺達が攻略して崩壊させた、ルナナのダンジョンを、必死に探してたなあ。

案外、調査能力や推測能力は、アテにならないのかも知れない。


オトメが何処かに電話している。

NLJOの中で電話とかできるのか?

そもそも、何処に。


「対立する7種族・・・その代表は・・・六王とシルビア・・・至高の六王ヘキサグラムのメンバーがその座についている・・・これは、極めて確度が高い予測、なのだよ」


フィロが続ける。


確かに、六王それぞれの種族と、ゲームに参加する種族は、一致している。

全員でなくても、何人かとは再開できるのだろうか?


それは、嬉しい。


皆──大切な、友人なのだから。


(御主人様の鬼畜ぶり、実家の様な安心感ですね)


今、その台詞を言う流れじゃないよね?!

脈絡の無い発言はやめて欲しい。

反応に困る。


「この状況をつくった存在・・・神か、悪魔か・・・LJOのストーリーを紐解けば、答えは明らか・・・神、だろう。男神か、女神か・・・これは、男神なのは幾つもの傍証が証するところ」


そこの2択、間違えちゃうのか。

トキとロリアが、青くなっている。

ソフィアは、顔を手で覆い、うずくまる。

オトメが、ビデオカメラを構えて、ソフィアを覗き込んでいる。

お前、ビデオカメラいらないだろ。


エルフ達は、涙を流し、跪く者。

必死にメモを取るもの・・・

オトメ、ソフィアよりあっちを撮影してやれ。


「おや、月花ちゃん、久し振り、だね」


「お久しぶりです、フィロさん」


月花・・・と、メイド様。

面白がって見に来たのか。

良いのか、主催者が降りてきて。


「とにかく、影人は何処にでも潜む可能性が有る・・・まずは、末端でも良いから、影人に接触する必要がある」


ちょいちょい、ぽふ


ルナナが、エイラに触れる。


もふもふ


エイラがルナナを膝にのせ、小首を傾げる。

エルフのうち半数くらいは、エイラ、及び、後ろに控える影人達に気付き、目を見開く。


「この戦いは・・・真の原因が有ると思う。それは──リソースの枯渇」


何だか、若かりし頃の黒歴史ノートの様相を呈してきた。


(リソース──エーテルは潤沢うさぁ?)


でしょうね。


「限られたリソース・・・このままでは、全種族が共倒れ・・・その為の・・・戦い」


じゃあ、同盟なんて選択肢、無いと思うよ。


「我らが神は、失礼ながら、高位の神ではない・・・リソースの不足は、宿命的なもの」


失礼過ぎる。

百柱神、最高位な。

結局、オトメのレポートがすげー高く評価されたらしい。

末席とは言え、その権力は・・・言葉にできない。

尚、凄く忙しくなったらしい。


「あの・・・フィロさん、そろそろ挨拶させて頂いてもよろしいでしょうか?」


「む?これはこれは初めま──イデア??!」


挨拶したのは、エイラ。

『イデア』として、フィロと親交があったのだろう。


「いえ、私は今はエイラです」


「今生ではエイラなのだね」


フィロが頷く。

数瞬の後、


「・・・何故エイラ──影人が此処・・・に?」


「影人は、ニンゲンに隷属する契約を結んだからです」

「対等な同盟な!」


エイラの嘘を、慌てて正す。

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