第77話 英雄らしさ

「若き英傑達は・・・若かった・・・そこにつけ入る隙があったのさ」


サクラが、胸を張って言う。


「具体的には?」


現実リアルが割れていたのでね。会社や自宅に押し掛けて」


おい。


現実リアルに手を出しちゃ駄目にゃあ?!」


トキが叫ぶが、サクラは、


「特定の年代にとっては・・・レイは、レイミーお姉さんは、神にも等しい存在。その言葉には逆らえない・・・のさ」


くくく、笑みを浮かべ、サクラが告げる。

幼児向け番組に出演してたんだっけ?


「うん・・・あそこまで喜んでくれると、嬉しかったよ。特に、サクラのはしゃぎ方が凄かった」


脅迫や洗脳ではないらしい。


「特定の年代・・・10歳前後にとって、レイミーお姉さんは憧れ・・・いや」


サクラは、ゆるりと首を振ると、


「最近の幼児でも、やはりレイミーお姉さんの効果は抜群らしく、過去の放送をわざわざ見せる親も多いと聞く。レイミーお姉さんの友情出演回は、視聴率が天井知らずとか」


「・・・マロンちゃんの放送も見てあげて欲しいなあ・・・」


レイが困った様に言う。

マロンちゃんって誰だ。


(レイ殿の2代後、今のお姉さんですね)


なるほど。


「つまり、大体10歳以下の人にとって、レイの言葉は絶対なのさ」


サクラが自慢気に言う。

でも、凄いな。


「加えて、若者はワンに心酔していますからね。ワンの事も公表したので、10歳より上の人も大半は支持してくれますね」


「・・・なるほど」


ユウタの補足。

隙がない。


「・・・ともかく・・・レイ、ありがとう、にゃ」


トキは、やや戸惑いつつ、レイの頭を撫でた。


--


1位 トキ 1,480,988,237 ポイント

2位 ソフィア 1,356,321,349 ポイント

3位 シルビア 3,284 ポイント

4位 カゲ 21 ポイント


いよいよ明日は最終イベント。

エントリーするのは、トキとソフィアのみ。


アジトに集まって、決戦前の食事会を開いている。


「最後のイベントは、直接対決・・・負けを認めるか、戦闘続行が不可能、または死亡により、敗北となります」


月花が、淡々と告げる。

死亡も有り、か。

まあ、最悪デスペナ受けるだけだけど。


月花が続ける。


「最後のイベントは、勝者に500,000,000ポイント、敗者は0ポイント・・・全てが決まります」


デカすぎい。

まあ、仮に俺が貰っても、全然届かないんだけど。


「女神様」


トキは、真剣な声音で、女神様を見て、


「お願いしたい事が有ります」


「聞こう」


女神様が、面白そうな表情を浮かべる。


「私が勝ったら、順位交換の件・・・無しにして下さい。私は・・・多くの人に支えられ、此処まで来ました・・・負ける為では無く、勝って代表になる為、勝負に挑みたいです」


つまり・・・勝っても負けても、トキは代表に。

それでも・・・勝って代表になる、その宣言。


俺は、笑みを浮かべる。


良いよ、こうなれば付き合ってやる。

代表とやらは、俺が全力でサポートする。


いや・・・俺だけじゃない。

みんなで・・・トキを支える。


女神様は、クックと笑うと、


「英雄らしくなったな。良いだろう。トキがトップとなった場合は、順位を交換するかどうか、選ばせてやる」


トキとソフィアのレベル差は絶望的。

それを、センスと技術で何処まで埋められるか・・・

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