第70話 巨大ギルドの関係者
ひゅう
周囲に冷気が立ち込める。
「あらあら。せっかく見逃してあげようと思ったのに・・・いけない子ね。良いわ。その命、散らしてあげる」
シスターが正体を現す。
推奨レベル2万のアライアンス級。
雑魚ではあるが・・・倒せるのだろうか?
因みに、会話から正体にたどり着いた時の強さは、無理矢理戦った場合の半分。
報酬のグレードは同じ。
逆に、証拠を集めた場合は真の力を出してきて、その場合は、無理矢理戦った場合の2倍の強さ。
報酬のグレードは跳ね上がる。
今回は、無理矢理戦った扱い。
俺も、全パターンで倒している。
「正体を現したな、ヴァンパイア!我が盾の錆にしてくれる!」
女性が盾を構える。
「唸れ、碧山!グレーターグリーンロックフォール!」
山の様な大きさの緑色の岩が幻視される。
シスターに岩が迫り・・・
「主よ、憐れみ給え・・・ヴィンテージララバイ!」
赤紫のハートマークが無数に飛び、岩にまとわりつき・・・
余ったハートマークが女性に襲いかかる。
「リフレクター!」
ハートマークがシスターに跳ね返る。
ぼむ、ぼむ
漫画っぽい感じの爆発が、シスターの周囲に花開く。
岩が消え、仕切り直し。
「下がっていなさい。奴は・・・強い」
女性が俺に言う。
まあ、旧愛で死なないなら、負けはしないだろう。
防御力が高いタイプだろうか。
時間掛かりそうだな。
結局、数十分の戦いの後、シスターにとどめを刺した。
お疲れ様。
「ふう・・・何とか勝てたな・・・はっ」
気づいた様に俺を見ると、
「私は決して、巨大ギルドの関係者だったりはしない。だが、今見た物は、忘れるように」
「分かりました」
特に覚えもしません。
その後も、可能な限り刺激しない様に気を付けつつ、街へと戻った。
・・・せっかくあそこまで進んだのに。
今度から、街道歩くのはやめよう。
--
「ふう」
椰子の木洞窟エリアの開放が完了した。
推奨レベル、5000前後。
周囲のフィールドと同程度の難易度だが、敵の密度は高い。
また、宝箱も湧く。
貴重な初心者用のフィールドになる筈だ。
カゲ経由でフィロに連絡が行ったので、間もなく活用されるだろう。
「にゃ、こんな所にエリアゲートにゃか??」
言ったのは、猫人の女性。
白髪のショートカット、猫耳、青と赤の目。
ソロとは珍しい。
最近は、PT行動している人が殆どだ。
「俺もついさっき見つけたところだ。見たところ開放は終わっているようだな」
とりあえずシラを切っておく。
「にゃ?今このエリアから出て来たにゃ?」
見てたのかよ。
「・・・ああ、ちょっと入ってみたんだ。いきなり現れたから気になってな」
「にゃ、ゲート出現と同時に出てきたから、エリア開放したのがキミだと思うにゃ」
そこから見てたのかよっ!
情報を小出しにすんな。
「・・・そうだ、このエリアを開放したのは俺だ・・・とりあえず、賢人ギルドに報告してくるよ」
「うにゃあ。なかなかの実力者と見たにゃ」
「中に入れば分かるが、レベル5千くらいだ。難易度の高いエリアではない」
「5千は結構、高レベルだけどにゃ」
・・・く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます