第83話 結末
「ま、待つにゃっ。にゃあは、結構役に立つにゃ」
「・・・神猫の能力は嘘なんだろ?」
加速に心惹かれてしまった自分が憎い。
「・・・潜入とか、得意にゃ。色んな情報を得てくるにゃ」
「システムまわりなら月花が、ゲーム内やリアルの情報ならカゲが情報を集めてくれるからな」
「ええっと・・・ほら、女の子の攻略情報とか・・・何処に行けば会えるとか、必須イベントとか、選択肢のアドバイスとか・・・」
「いらねえよ?!」
本当に駄猫だなっ。
「気になるあの娘の下着とか盗んでくるにゃ?!なんなら、お風呂とか撮影してくるにゃ!」
「駄目だろ!」
誰得。
「・・・料理とか、するにゃ!」
「間に合ってます。料理は月花の担当だな」
月花が胸を張る。
「お・・・背中とか流すにゃ」
「間に合ってます。背中はカゲが流しているな」
こくり、カゲが頷く。
「待つにゃっ。それはおかしいにゃっ」
え?
きょとん、としてカゲを見るが、カゲもきょとん、としてこちらを見る。
まあ、契約解除のやり方も分からないし、諦めよう。
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「シーザーなら死んだわよ?」
フェルがあっさり、拍子抜けな事を言う。
「・・・死んだ?」
「うん。懲りずにダンジョン探索して、魔物にボコられて、ね。お付きの護衛もろとも」
シーザー━━スレイが死ぬ事になった原因のお偉いさんだ。
せめて脅かす等のいたずらしてやろうとしたのだが・・・既に死んでいたらしい。
スレイの時と違い、心はざわつかない。
「そっかあ、アイツ死んだのかにゃあ」
バスレトがしみじみと言う。
「知り合いか?」
「いや、言ってみただけにゃ。にゃあは、可愛い女の子限定でしか記憶に留めないにゃ」
色ボケ駄猫。
「わっ、可愛い!新しい従魔??抱きたい!」
フェルが手を伸ばす。
すっと液体の様にフェルの手を躱すと、
「抱くのは、お手製のシルビア人形で我慢しておけなのにゃ。キスとかしてるので、もっとこまめに洗濯した方が良いにゃ」
「何で知ってるの?!」
バスレトが適当に言った事に、フェルが強い反応を示す。
本当なのか?
と言うか、女の子好きじゃなかったのか?
フェル、結構美人だと思うぞ。
「みゃあは、ご主人様専属の攻略アドバイザーにゃ。女の子の秘密を探るのはお手のものにゃ」
「・・・もう、他には無いもん」
「魔法のステッキの柄の部分に巻いてある布を取ると、想い人の名前が出てくるにゃあ」
「きゃああああ?!」
想い人がいるのかあ。
そして、何故知ってる。
「・・・まあ、良かったわ。シルビアが落ち込んでるって聞いて、心配だったのよ」
フェルが、こほん、と咳払いをしてから、言う。
「・・・流石にショックはあったが、煩いコイツがいるせいで、気が紛れたのは確かだな」
俺が、バスレトの頭を撫でながら言う。
だからこそ、月花達はバスレトを仲間にする様に仕向けたのだろうか。
「まあ、シルビアを元気づけてくれたのは感謝するわ。私も忙しい身だから、なかなか来れないのよ」
フェルが、バスレトに微笑みかけると、
「
バスレトが小首を傾げて言う。
「何で知ってるの?!じゃなくて、橋渡し以外にも仕事してるから!!」
解子って誰だよ。
フェルがバスレトをぐらぐら揺らす。
こら、俺の従魔を揺らす・・・まあ良いか。
フェルが去っていく。
そっか、スレイが死ぬ原因になった奴、死んだのか。
ちょっとだけ、すっきりした自分がいた。
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