第123話 持っている情報は限定的です

至高の六王ヘキサグラム、最初のギルドにして、最強のギルド」


ソフィアが語り出す。

いや、レベルも上がってるし、人も多いし、終盤の各ギルドの方が強いぞ。


「六王が所属していたギルド」


ソフィアが続ける。


「それは知ってるわよ。何で至高の六王ヘキサグラムが出てきたの?」


ポラリスが訝しげに問う。


至高の六王ヘキサグラムの7人目、六王を統べる存在、宝王アークオブアーク、六王をも凌駕する力を持つ存在・・・それが、シルビア殿と言う存在です」


ごくり・・・


アーサーが、ポラリスが、ムサシが、カゲが、驚愕の色を浮かべる。

カゲ、時々演技が達者ですね?!


「まあ待て、統べて無いし、称号が違和感あるし、六王に比べると力が劣るからな?」


「・・・でも、確かに圧倒的な知識と力・・・納得だ」


アーサーが呻く。


「まあ、シルビア殿の事は謎に包まれていますからね。賢者たる私でも、持っている情報は限定的です」


ソフィアが自嘲気味に言う。

と言うか、賢者ならもっと知識持っててくれよ。


「職業はレンジャー系列、数多くの・・・いえ、フェアリーを従魔とし、友人も多く、魔王の娘・・・現魔王とすら元は友人であったとか。ドロップ率アップのスキルの恩恵も有り、そのレアアイテム所有量は膨大・・・プレイヤーが所持するレアアイテムの大半は、シルビア殿が入手して安く譲ってくれた物」


待て、何故そこまで詳しい。


「秘奥義、宝飾解放ロストトレジャーの威力は絶大で、神にすら届く威力だそうです。ダンジョンのソロでのクリア数も既に99に達し、今では100を超えている可能性も。狩場の情報や、ダンジョンの情報、魔物の情報にイベントの情報・・・その大半が、シルビア殿によりもたらされた知識です」


「待て待て待て待て」


ソフィアにストップをかける。

詳し過ぎるわ!

後、過大表現混じってる。


「・・・シルビア殿・・・凄いお方であったか・・・」


アーサーが目を見開いて絶句する。

ポラリスやムサシも同様で、アリスすら啞然としている。


カゲは──


「シルビア殿は、お尻にホクロがあるでござる」


いきなり暴露を始める。

待てや。

何故対抗した?!


「むむ・・・」


ソフィアが悔しそうに呻くと、手帳を取り出し、メモる。

おい、その手帳見せろ。


「・・・そこ迄の偉人が、何故大罪人扱いに?」


ポラリスが困惑した様に尋ねる。


「シルビア殿の業績は、秘密にされていましたからね・・・お偉方の命令を聞かない奴、くらいの認識だったのでござろうな」


カゲが温度の無い声で言う。


「後は、六王の心を折る目的や、業績が漏れた時に人心が集まる事を警戒、もしくはシルビア殿自身が声を上げる恐れ・・・奴等が何を考えたのかは理解出来ませんが、愚かな事です」


パキリ


言いつつ、持っていたグラスをへこませるソフィア。

おい、神聖オリハルコン製の装飾グラス、激レアなんだぞ。

潰すな。


というか、レベル10万程度では、戦闘職でも傷1つつけられない筈だが、よく潰せたね。


「結果、魔王が復活した、と。状況はカゲ殿から聞いた範囲しか分からないが・・・魔王の娘が、女神様により魔王化、六王を含む精鋭プレイヤー達を一瞬で亡き者にした、で正しいのか?」


ムサシが問う。


「ええ、そこは賢者ギルドでも確認しています。間違い有りません」


ソフィアが答える。

確認ってマジか。

まあ、俺には都合が良いんだが。


「続いて、各街への魔王軍の襲撃。前魔王より実力も有りますが、戦術も相当洗練されているようです。豆腐を崩すより容易く、全滅したようですね」


ソフィアが続ける。

魔王の優秀さ、流石、としか言いようが無い。


アーサー達の、俺を見る目が変わった気がする。

まあ、ある程度信頼はして貰わないと、支障が出るからな。

悪くは無い。

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