第7話 英雄の指輪

ダンジョン最奥。

朽ち果てた像、開けられた宝箱、派手に倒れた燭台・・・

此処でボス戦が有り、ボスが倒されたのだろう。

次はきっと・・・俺が踏破者になる。


・・・まあ、ボス倒せるのか、という問題があるけど。


ゴゴゴゴゴ・・・


大気が・・・揺れ始める。


「ご主人様、逃げて下さい。リスポーンです」


ボスの・・・復活。

良し。


「ご主人様?!」


現れたボスは・・・コボルドキング。


「推奨レベル500の、ユニオン級!何でこんな序盤のダンジョンに・・・そうか、リベンジ属性!」


月花が叫ぶ。


戦闘職が12人パーティを組み、それが5つ集まって、60人。

それがユニオン級。

絶望的な強さだ。


リベンジ属性は分からないけど、恐らく、復活すると強くなる?


「ご主人様、ダンジョン脱出のアイテムを!」


「・・・どうやら・・・逃してくれないようだぜ?」


俺が苦々しく言い捨てる。


「だから脱出アイテム使えと言ってるんです、このお馬鹿!」


ディスられた。


「良いだろう。お前が勝つか、俺が勝つか。魅せてやるよ!」


コボルドに突っ込む。


「く・・・お供します!」


月花からバフ魔法が飛んでくる。

有り難い。


ゴッ


コボルドが消えたかと思ったら、俺の身体をコボルドの大剣が両断する。


残像だ。


ザンッ


首筋を全力の赤月剣で切り裂く。


ガアッ


コボルドが背後にシミターを踊らせるが、


ザザザッ


コボルドの顔を無数の月光弓で穿つ。


ギアアアアアアアッ


コボルドのハウリング。

音波で周囲を麻痺させる技。


「させません!」


月花が対抗魔法で音波を打ち消す。


ザンッ


コボルドの頭上に俺の赤月剣が突き立てられ。


ザッザッ


続けて連撃を行い・・・


中略。


コボルドにトドメを刺した。

最後パワーアップしてやばかった。


「気をつけて下さいね。死んだら終わりなんですから」


「そう言えば、死んだらどうなるんだろう。お金とかアイテム失うのかな?」


「死にます」


・・・?


「死ぬの?」


「はい」


・・・詳しく聞くのは怖い気がする。


ゴトリ


「凄い・・・虹宝箱・・・」


月花が呟く。


他にもドロップが有る。

お、この魔石すげー。

魔力が溢れてるな。


「ご主人様、今日も素敵なお姿ですね。月花、ご主人様のお姿を見るだけで幸せです☆」


・・・プライド投げ捨ててまで欲しいのか・・・


良いよ。


「有難う御座います!」


コボルドの魔石に飛びつき、食べ始める。

尚、ボスから魔石ドロップは極稀で、売れば凄まじい資産になっただろう。


さて・・・


虹宝箱。


素晴らしい物が入っている可能性が高いが、トラップも強力無比。

ギルドの解錠サービスで開けるのが一般的だ。

自分で開けるけど。


中には財宝と・・・


英雄の指輪[LR]


何だか凄そう。


「美味しそう」


ぽそり、と月花が呟く。

・・・ボス魔石食べてたんじゃ・・・あ、まだ半分残ってる。


じー、と月花と目が合う。


・・・


にぱっ


月花が満面の笑みを浮かべる。


・・・


もっきゅもっきゅ


月花が魔石と指輪を食べている。

うん、きっと次があるさ。


すっ


月花が何か差し出す。


「ん?」


ピッケル?


・・・


ああ、ギルド倉庫とアイテムボックス繋がったのか。

でも、今はいらない。


ごそごそ


月花がピッケルを仕舞う。

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