第99話 天上の存在

・・・とはいえ、発言は完全に正しい。

全陣営に平等に接する立場であって、個々の陣営に口をだすのは、絶対に駄目な筈だ。


「そもそも、メイド様は、何故ちょくちょく俺達の所に来るんだ?」


百柱神って、そんなに暇じゃないだろ?


オトメは深い溜め息をつくと、


「御主人様・・・本当にどうしようもない方ですね・・・何故分からないですか・・・御主人様に会いたいからに決まっているでしょう?」


ちょっ


まあ、俺が色々やらかすのを楽しんでいる節はあるが、真っ向から指摘したら不快だろう。

不敬過ぎる!


「な・・・なな・・・」


うわ・・・メイド様が赤くなって震えている。

やべえ、超怒ってる。


「御主人様はオトメゴコロが分からなさ過ぎます。もはや悪意すら感じますね」


オトメが続ける。

オトメゴコロ関係ねえええええええ!


「ばかもの!私がシルビアに気・・・気が有るなど、有り得ぬ!この様な無礼、受けた事が無いわ!」


メイド様が叫ぶ。

いや、関心すらないって、流石にそれはどうよ。

一応、色々やって、楽しんで観察されていると思っているんだが。


まあ、神が被造物を気にかける、それは恥なのだろうな。


「そうだぞ。メイド様は、俺には全く関心が無い。失礼な事を言うな。メイド様は天上の存在、俺の人生とは一切交わらない、そんな存在だ」


メイド様のフォローをしておく。


「・・・シルビア殿、今入った情報だと・・・現実あちらの再開拓地で唐突に火山が噴火・・・建設中の施設が火の海に・・・」


ロリアが青い顔で報告する。


ああああああ、フォローが足りなかった??!


メイド様、すわった目で睨んで来る。

どうしろと・・・


「人的被害は出しておらん、感謝せよ」


メイド様がそっぽを向く。

それは良かった・・・いや、投資がパーになったから、良くないけど。


話をそらそう。


「と、とにかく。負けた時のリスクもそうだが・・・対戦方法も検討したい」


俺の言葉に、ユウタが、


「代表者3名、しかも聖職者・・・同盟の最大のメリットである、数が活かせないですし。聖職者といえば天使、そこも圧倒的に不利ですね」


だよなあ。


「うちの陣営で聖職者といえば、トップ3は誰だ?」


「恐らく・・・アリスさん、レイ、僕かと」


問いかけに、ユウタが答える。

レイとユウタも、あれから順調にレベルを伸ばし、かなりの強さになった。

アーサーやポラリスは抜いたらしい。

レジェンドダンジョンも、ソロでクリアできたとか。


勿論、頼もしい存在なのだが、天使や・・・リミアには勝てないだろう。

リミアは、支援能力は言うまでもなく、格闘能力だけでも比類ない存在だ。


何というか・・・


「あまり同盟増やしても、結局何かの形式で勝負するのなら、あまり有利にならないんじゃね?」


勝負しないのが正解な気がする。


「でも・・・3種族で同盟している私達が有利ですよね?2回まで負けれる訳ですし」


エイラが、小首を傾げて問う。


「その、同盟しても有利な部分を活かせないから困ってるんだよ」


絶対数は多いんだけどなあ。


「にゃ?」


トキが声を上げる。


「2回まで負けれる、って何ですか?」


ユウタが尋ねる。

ん?

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