第104話 案内してきた妖精と

で、


「どうするんだ?」


「そうね・・・あの辺かしら?」


本来は女王がゲートを作る場所。

そこに手を突っ込むと、無造作に空間をこじ開けた。


無機質な回廊を進む。


そして・・・


「これが春を呼ぶ鏡ね」


フェルが呟く。


春を呼ぶ鏡。

虹色に光る鏡。

ここに来る事が、クエストの目的だ。

鏡の前で女王が笛を吹けばクリア・・・死体の確認ができないくらい倒したけど。


フェルが周囲の空間を探り・・・


「これは・・・困ったわね」


呟く。


「ああ、本来は女王引きずってきて笛吹かせるからな」


魔力探査でそこまで分かるのが凄い。


「待って・・・そう、きっと、別の手段が有るわ」


フェルが告げる。


始まりの行為、鏡の前で異性とキスする事でも、クエスト条件達成となる。


フェルは、意を決した様に、俺を見て、


「シルビア・・・お願いがあるの!」


「ん、分かった」


フェリオを差し出す。

一応、こいつも男性扱いだからな。


フェルが固まる。


・・・?


「どうした、嬢ちゃん。大丈夫じゃよ。我が相手であればノーカンじゃて」


・・・フェリオは嫌なの?


「シルビア・・・この鏡の前でキスするっていうクリア条件・・・知ってるの・・・?」


ああ、そっちか。


「そりゃ、俺も此処でキスしてクリアしたからな」


「誰とよ?!カゲとか・・・いや、他の六王じゃないでしょうね?!」


え、何で知ってるかより、誰とが気になるのか?


「此処に案内してきた妖精としてましたね」


月花が告げる。


「・・・あいつら・・・皆殺しにしてやる・・・」


物騒だな?!

フェルが呪詛を吐く。


このフィールドの妖精は全滅済だけどな。

あの魔法、外の世界では使うなよ。


「あの・・・宜しければ、私めがお相手しましょうかにょろ?」


ワムテが尋ねる。

ワムテは女性型だが、男性扱いにもなれるので、イベントクリアが可能だ。

そもそも、ワムテ1人でもイベントクリアできるんだけど。


「寄らないで、化け物」


「・・・くぅっ」


フェルの拒絶に、ワムテが悶える。

ちなみに、ワムテは化け物扱いされるのが好きだ。

ちょくちょく、夜に魔王軍占領下の街に行って、脅かして愉しんでいるそうだ。

・・・やられた方は発狂して後遺症残るので、ほそぼそとやってるらしい。


・・・良くワムテの擬装見破ったなあ。

俺ですら難しいのに。


「私がご主人様と致しましょうか?」


月花の提案。


「駄目に決まってるでしょ!」


フェルが却下する。

そりゃそうだ。

フェルが条件達成しないと、此処までやった甲斐がない。


「仕方が無いわね。シルビア・・・私と・・・」


「うさぁ?」


「・・・宜しく、ルナナちゃん」


ちなみに、ルナナは性別がない。

が、条件達成は可能だ。


フェルとルナナがキスをすると、鏡が割れ、光が溢れ出し・・・雪が溶けて春が訪れ・・・


クエストクリアだ。


何故かがっくりしたフェルと、酒場へと向かう。

結局、クリア方法一緒になったなあ。


そういえば、俺もあまりキスの経験は無いな。

このイベントで月花とキスした時・・・くらいか?

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