第16話 カスタマイズシステム

「天才少年かあ」


職場での昼休み。

仮想テレビに映し出されたニュースを見て、自分の同じ頃に重ねる。


ちらほらテレビに取り上げれる少年は。

去年、15歳にして、ノルベル物理学賞を取得。

今年もナイチャーに論文が掲載され。

既に大学に在籍しているとか。


俺が16の頃は・・・引き篭もって、親の遺産を喰い潰し、ゲーム三昧。

差に・・・泣けるな。


(これ、霊真エーテルの基礎理論に繋がる理論ですね)


ロリアがぽつりと言う。


ぶっ。


霊真エーテル抽出。

魂が持つ力を利用する、凄まじく高度な科学技術なのだが。

神の領分を侵す研究で、禁忌とされる。


ロリアの本当の世界が、かつてそれを理由に、神に滅ぼされている。


(まだ、基礎の基礎なので大丈夫ですけどね。後何段階かあるので・・・百年は掛かるかと)


俺が研究するなと言う訳にもいかないしな。


色々な意味で、気になる存在ではある様だ。


--


ゴッ


長い、薄い水色の髪を振り乱し。

回し蹴りがハイリザードマンに炸裂。

ハイリザードマンが後退する。


オートメディックは、女性型に形態変化フォームチェンジを行い、格闘で戦闘に参加する様になっていた。


まだ、役に立つ、という次元では無いが。

幾分マシにはなった。


「頑張ります。だって、乙女だもん」


頑張れ。

言葉はかなり流暢になった。


「カギロイ殿、結局、従魔としては認めたのですか?」


「そうだな・・・そろそろ認めても良いかも知れん」


「お願いします!」


なら、今更だが。


「オートメディックよ、我が剣、我が盾となりて、その力を振るえ!」


「あ、オトメって呼んで下さい」


それ名前なのかよ。


「オトメよ、我が剣、我が盾となりて、その力を振るえ!」


「我、汝が剣、汝が盾とならん!カギロイよ、汝を我が主と認める!」


しーん


特に何も起こらない。

既に従魔なのかな。


「カギロイ殿・・・いや、シルビア殿。真名でなければならないのでは?」


「何・・・だと・・・」


やっぱり、名前変えられてないのか。

職業も変わってないし。

まあ、職業はもう良いけど。


「オトメよ、我が剣、我が盾となりて、その力を振るえ!」


「我、汝が剣、汝が盾とならん!シルビアよ、汝を我が主と認める!」


光が立ち上り・・・


<オートメディック・オトメが従魔となりました>


よし。


ぴろりん


<オートメディック種の従魔を入手した為、カスタマイズシステムが解放されました>


?!


カスタマイズシステム

 必要条件:

  霊真エーテル知識の所持

  オートメディック種の所持

 説明:

  ・開発を実施し、

   性能を上げたり、

   新兵器を搭載できる。

  ・開発には、一定量の武具や、

   魔石を消費する。

  ・レアリティや、種別が影響する他、

   特定の武具や魔石で、

   特殊な兵装を解放する。


・・・


これ、結局、高レア装備や魔石集めろって事じゃ。

魔装システムと強化方法が被る。

と言うか・・・


「これ、本当に一般的なシステムなんだろうな?オートメディック種とか、限定され過ぎじゃないか?」


機械系、じゃないのかよ。


それに。


霊真エーテル知識の所持って何だ?!普通持ってないぞ?と言うか、俺も無い」


「私が従魔にいるからでは?妹程では無いが、私も基礎理論は身に付けています」


ロリア。

なるほど・・・良いのか?


まあ・・・


解放されたものは、仕方が無い。


「コンゴトモヨロシク」


流暢に喋れよ。


--


照準ロックオン、ショルダーガン、全開放フルバースト


ゴゴゴゴ


敵を、無数のミサイルが撃ち抜く。

接触と同時に爆発。


ズン・・・


リザードマンが倒れる。


オトメは、何とか戦力にはなってくれたようだ。


「魔石2、UR武具が3・・・まだまだだな」


戦果を見て、嘆く。

従魔強化には心許ない。


以前は、ルナナがドロップ率上げてくれてたしな。


次階層への扉は、見つけてある。

後は、週末を待つのみ。


--


ひゅ


俺が放った矢が、敵斥候の注意を引く。

[UR]疑似月弓。

弱い、と言う程では無いが、矢を自動生成するのが便利だ。


斥候がこちらに向かい──


「デモン・サンダー」


ロリアの魔法が発動。

斥候を消し炭と化す。


・・・ロリアを魔装化するより、擬態化させて戦わせた方が強い件。

魔装強化を行うと、ロリア自身の力も強化されるらしい。


いつの間にか、俺は敵を釣ったり、補助がメインになっている。

おかしいな・・・

戦闘職で無双する筈だったのに。


光子フォトン・ブラスト!」


オトメが放った光が、残った斥候を焼き尽くす。


準備を整え──部屋に突入。

階層主、リザードマンエリート。


「トゥールハンマー!」


超電磁砲ユピテルサンダー!」


ゴッ


名乗りすら上げさせず、ボスを、ロリアとオトメの攻撃が包む・・・生きてる!


「な、何奴?!」


ボスが叫ぶ。

周囲が戦闘態勢に入り・・・


それでも、十数分の後には、ボスは動かなくなっていた。

・・・これ、俺のソロでは勝てる気がしない。


宝箱も解除・・・ボス魔石に、UR武器と・・・


<[LR]薄刃蜉蝣を入手しました>


LRの双剣。

一応、置いておこう。


「私とオトメ、どちらに使うかですね」


「俺が使うかも知れないからおいておくんだ」


LRを餌にするんじゃねえ。

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