第128話 エピローグ
人払い。
偶然を装って、誘い出された。
別に、敢えて乗った訳ではない。
純粋に、してやられたのだ。
まあ、いざとなれば・・・
「待て、敵対の意志は無い」
白いフードを目深に被った男。
手を伸ばし、俺を制す。
白いローブ。
白い手袋に、白いブーツ。
白ずくめ。
怪しい・・・が。
「我は、高貴なる存在の使者。バカの後始末をする為、そなたに会いに来た」
「バカの後始末・・・?」
「そうだ。そなたのアバターには、不正なコードが埋め込まれている。それを回収したい」
不正なコード?
そんなもの。
・・・
まさか。
「そうだ、その、バカの加護だ」
だが・・・
「やめておけ。そなたでは、我には敵わぬ。それに・・・そなたは聡い。その力が、あってはならないもの、という事は分かるであろう?」
・・・確かに。
能力値を自由に書き換える能力なんて・・・
男が俺に手を伸ばし。
俺から、何かが消えた。
ステータスを見ると、ふくろうのかごが消えている。
これで俺は・・・何も持たざる者。
まあ・・・それは、何時もどおりだ。
俺には、何も無い。
いや・・・
俺には、俺を愛してくれる、大切な人達がいる。
「後始末は終わった。迷惑をかけたな。後は・・・お前の大切な人達の所ヘ帰ると良い」
それはそうするが・・・
「貴方は?」
「ただの派遣プログラマーだ。詮索はするな。余計な事を知れば・・・今度は、俺はお前を消さねばならん」
物騒な。
(大神アテナの唯一の眷属、ですよ。元人間でありながら、ヒノコ様より偉い人です。秘中の秘なので、知る事すら禁忌です)
うおおおおい。
じゃあ教えるなよ?!
と言うか、何で知ってるんだ?
でまかせか・・・いや・・・何となく分かる。
恐らく・・・本当だ。
「どうした?」
目の前の男が、訝しげに問う。
「な、何でもない・・・ですよ」
(尚、ご主人様が最初に会ったふくろうさん)
ふくろうさん・・・?
・・・
あああっ。
何で忘れていたんだ?
そうだ。
チュートリアルで・・・何故か、ふくろうが出てきたんだ。
つまりコイツは・・・アレの飼い主。
このゲームでは創世神とか言ってたっけな。
(このゲームでは、と言うか、普通に創世神様ですよね。アテナ様より偉い神様です)
???!!
(ああ、ちゃっかり口が滑りました。秘中の秘どころでは無く、百柱神でもほんの一握りしか知らない事実・・・それこそ、知っている事がバレたら、存在していた事実ごと消されます。てへぺろ)
おおおおおおおおおおい??!
(な・・・何故私まで巻き込むのですか?!)
ロリアが涙声で抗議する。
念話は、従魔同士で共有される。
いやほら・・・運命共同体だし。
「どうしたのだ?」
男──アテナの眷属にして、創世神の飼い主っぽい男──いや、関係おかしくないか?
ともかく、相当怪しまれている。
「そろそろ戻ります。愛しい妻達が待っているので」
「ああ、それが良い」
男に別れを告げ。
拠点へと足を向ける。
俺は、特別を失った。
俺には、何も無い。
何もできないが。
人との出会いは恵まれていたと思う。
俺の大切なものは、全てLJOとNLJOで得た。
そして、確信が有る。
これからも、きっと多くのものを得る。
LJOでは、多くの出会いがあった。
そして・・・多くのものを失った。
最後に、世界そのものを失った。
NLJOに出会った。
そこで新たな出会いや、嬉しい再会。
そして、深まった関係・・・
世界の終わりは、永遠の別れでは無かった。
死も、永遠の別れでは無かった。
永遠に別れてしまった人もいる。
いや、それすらも、今後再会できるかも知れない。
縁を繋ぐ事。
それは、本当に奇跡で。
いつ途切れるか分からないから。
その瞬間、その瞬間を大切に。
そして、縁が途切れても悲しんで止まってはいけない。
新たな縁も生じるし、今後再会できるかも知れないのだから。
さあ、今は戻ろう。
愛しい妻達と・・・大切な友人達が待つ拠点へ。
##################################
お付き合い下さり、有り難うございました。
これで、第二部、NLJOは終わりです。
またしばらく休載しますので、いったん完結させます。
第三部の構想は有るのですが、半年や1年、それ以上開きそうです。
他にも色々と書きたい物が・・・
その後のイチャラブ等を、おまけでちまちま投稿するかも知れません。
ツイッター
https://twitter.com/akasato_kitsune
感想、ブックマーク、評価など、貰えると励みになります。
【32万PV】Last Judgement Online~世界なんて救いたい奴が救えば良い+Next Last Judgement Online~続編か、ならば再び人生を捧げよう 赤里キツネ @akasato_kitsune
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます