第56話 LJO対策ソフト
「状況は良くないでござるな。新規の流入、特に才有る者がゲームを始める確率が激減しているでござる」
黒装束の少女から、報告を受けている。
少女の名は、イデア、では無い。
イデアが作ったギルドの下っ端、らしい。
名は、カゲ。
戦闘が苦手なので、連絡役に徹しているそうだ。
ギルドメンバーであれば、ギルドチャットで情報伝達出来るからな。
・・・もっとも、この前狩りで、大型のドラゴン両断していたので、単に俺の護衛に置いてっただけな気がする。
確かにステータスもレベルも低いのだが、偽装じゃないかな?
特にリミアがいる時は絶対に出てこないので、確かめる術は無い。
イデアは、ギルドを作って、闇の職業集めたまでは良かったが・・・
いざ何をするか、となるとみんな困ったらしい。
で、俺が適当に頼み事して、イデア達が動く、という図式が出来上がっている。
良いのかなあ?
ゲーム内の情報は従魔からリークがあるが。
プレイヤーの思惑や、リアルの動きを混ぜてくれるから有り難い。
頼んでいたのは、リアルでのLJOに対する評価。
新規参加者が減れば、ゲームは健康な状態を保てない。
そう思ったのだけど。
「・・・参加しない、という選択肢を取る奴がいるのか」
「左様でござる。最近は、規約を小さな文字にするとか、間違えてクリックして登録までノンストップとか、フリーソフトと一緒にインストールするとか・・・工夫している様でござるが、残念ながら効果が薄くなっている様でござる」
「・・・そこまでしても駄目なのか・・・」
むしろ積極的に押すべきだ。
「最近は、LJO対策ソフトが出回り、インストール阻止や、クリック防止等、設定している人が多い様でござる」
「こんなに楽しいのに・・・」
それは女神様、とやらが怒るんじゃないか?
人類の救済とやらはどうなったんだ?
「更に、ログインしてもすぐログアウトして、そのまま繋がない人が多い様でござる」
「何・・・だと・・・」
それは盲点。
「システム側も、レベル20を超えるまではログアウト出来ない様にして対応しようとしているでござるが・・・」
「レベル20とか、数分で超えるよな」
ははは、と苦笑いするカゲ。
何故。
「20だと容易すぎるから、2万にしようとする動きも有りますね」
月花が補足。
「月花殿、それは誠でござるか??!」
こら、人のフェアリーを揺するな。
カゲが月花を揺らす。
「素直に、幾つかの簡単なソロクエスト達成で良いと思うんじゃがな」
フェリオ。
「それは良いな。俺がクエストを見繕っても良いぞ」
簡単そうな奴から、徐々にランクを上げて・・・だな、少しずつ沼に嵌めるように。
「・・・シルビア殿は、レジェンド級の難しさのクエストばかり選びそうで怖いでござる」
「流石に俺でも、ちゃんと簡単なのも混ぜるよ?!」
最終課題くらいだ。
レジェンド級は。
心外だ。
「新規開始者は、ログアウト不可の新ダンジョンに放り出すという考え方も有りだな」
トライプニル。
「うむ、それは無しでござるな。やめて欲しいでござる」
カゲが頭を振って言う。
「とりあえず来週から、ログアウトノルマが2千に上がりますね」
月花が言う。
「ふむむ・・・来週から2千・・・でござるな・・・」
カゲがメモっている。
イデア達に調査を依頼している筈が、時々月花達からシステム側の情報が流出し、イデア達が情報を広めているという謎の現象が時々起きる。
たしか再来週から4千にすると言ってた気がするが、来週から2千、と段階をおくのか。
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