第6話 どんな気持ちですか?

さて・・・


名前:シルビア

種族:人間、男

レベル:653

職業:エクスプローラー

職業レベル:83

武器:月光弓[UR]、宵月鞭[SR]、赤月剣[SR]


名前:月花

種族:妖精

レベル:1


レベルが高い人は、既に4桁がいるらしい。

5桁もいるかもしれない。


とは言え、焦っても仕方がない。

人は人、俺は俺だ。


「ご主人様、前方よりレインドッグの群れです。逃げて下さい」


あれか。


パシュッ パシュッ


危な気なく射抜き、歩み寄る。


「・・・ご主人様?今、弓の有効射程外から撃ったのですが・・・どうやってタゲったのでしょうか?」


タゲ?


「普通にちょっと上目に撃ったけど?」


近い距離なら真っ直ぐでいいが、遠い敵は飛距離を稼ぐ為、上目に撃つ。


「それと・・・ご主人様の攻撃力では、レインドッグにはあまり通じない筈ですが・・・」


「重力加速と、クリティカルだな」


練習した。


「・・・はあ・・・」


近寄ると、SR短剣に、魔石が2個。

悪くない。


「・・・魔石が2個って、凄く幸運ですね」


「ドロップアップと、魔石採取の効果だな」


狼の死骸から採取・・・毛皮、牙、魔石がドロップ。


「どちらもハズレスキルの筈ですが・・・戦闘能力がないレンジャーで大半与えないと効果が出ないという・・・あ」


月花が気付いたようだ。

パーティーでは活躍しないだろうけど、レンジャーのソロだからなあ。


「そういう訳で月花。これをしまって欲しい」


「無理です」


ひゅるー


風が吹き抜ける。


「・・・え?」


「無理です。私がアイテムを出し入れ出来るのは、マイボックスの中でだけです」


・・・


「ねえ、今どんな気持ちですか?1ヶ月丸々使って私を連れ出した結果、何の役にも立たないと気付いたご主人様」


月花が肩から体を伸ばし、顔を横にして覗き込んでくる。


・・・何・・・だと・・・


がっくりと膝をつく。


「・・・魔石、食べて良いですか?」


どうぞ。


ぽしぽし・・・


嬉しそうに食べ始める月花。


・・・まあ、話し相手と、目の保養、という事で良いか・・・


「せめて、補助魔法とか回復魔法とか覚えてくれ」


ぽふ、と、月花の頭に手を置いた。


--


ダンジョン。


レンジャー系列の真骨頂だ。


ダンジョンは、他プレイヤーと共通で、先に進む仕掛けや、レア宝箱は既に開いている。


一方で、トラップやコモン宝箱、敵はポップするので、探索済の場所でも出たりする。


・・・あれは、


「ご主人様、危険です」


黒宝箱。

理不尽な罠が多い割に、がっかりの中身が多い。

ポップする物では無いが、放置されるので、探索済の場所でも置いてある。


トラップは・・・サイコブラスターか。


カチリ


箱が開く。


村雨[SR]

宝石

魔石


「・・・可もなく不可もなく」


「普通に当たりだと思いますよ。ところで宝石も食べていいですか」


宝石も食べるのかあ。

良いよ。


ぽしぽし・・・


器用に宝石と魔石と刀を何処かに仕舞うと、美味しそうに宝石を食べ始めた。

癒されるなあ。

例え荷物の解決にならなくても、連れてきたかいがある。

ああ、魔石や宝石は減るから、その意味では荷物軽量化が・・・


・・・


「あれ、刀とか、何処に仕舞ったんだ?」


「いわゆるアイテムボックスですね。必要そうだから覚えました」


「・・・有難う」


便利だけど、何気なく覚えるんだね。


しばらく行くと、背後にスケルトンが6体ポップアップ。


ヒュ


宵月鞭で一体絡め取り、別の奴にぶつけ。


ジャッ


シミターを振りかぶるスケルトンを、


パシッ


絡め取り、別の奴にぶつけ吹き飛ばす。


「マッドスクエア」


月花の魔法。

地面がぬかるみ、スケルトンが足を取られ転ぶ。


ガッ


赤月剣を頭に突き立て、生命力?を削る。


ギギ


離れたスケルトンが弓を引き絞り、


パンッ


俺の放った月光弓がスケルトンの頭部を砕く。


これで全部動かなく。


「SR弓と、魔石が3か」


骨からは追加採取は期待出来ない。


ひょいひょい、と月花がアイテムを仕舞う。


踏破済ダンジョンなので、敵も宝箱も遭遇率が低い。


「あれは」


不自然に突き出た岩。

採取ポイントだ。


「月花、ピッケルを貸してくれ」


「出せないですよ?!」


何・・・だと・・・


「アイテムボックスにアイテムを仕舞えますが、マイボックスの倉庫と繋がってる訳ではないですからね」


仕方がない。


バシッ バシッ


宵月鞭で岩を破壊する。


「その鞭凄いですね」


「殴るポイントを気をつければ、何とかなる」


鉱石と宝石が幾つかドロップ。

月花が回収する。


「そろそろキャパが・・・」


月花が困った様に言う。

おや、そろそろ限界か。

それでも、自分で持つよりはかなり多く持てている。


「なので軽くします」


もっ もっ


魔石を食べ始めた。

ついでにアイテムボックス拡張しておいてくれ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る