第36話 我儘

「シルビア?!凄い・・・シルビア、凄いよ!」


フェルが駆け寄ってきて、涙目で叫ぶ。

いや・・・


「頭の上の2つの三日月の真ん中から下側、花マークの所で270度回って見つけたハートマークを攻撃しただけだけど」


「何それ?!」


「弱点」


「・・・何故そんな物を知って・・・まさか、伝承の謎を・・・解いたのかい?!」


フィロがはっと気付いたように言う。

いや・・・


「いや・・・本人が何か、普通に喋り出したぞ?」


まさか本物とは思わなかったが。

尚、フィロは同じ話の繰り返しに飽きて、ちょくちょく狩りに混じってた。

そういう時に限って、弱点喋ったり城の仕掛け喋ったりするんだよなあ。


「あの・・・本当にごめんなさい」


フェルが、俺に頭を下げる。


「封印の部屋開放する度に、氷狼の力がガクッと落ちてて・・・その辺の雑魚より弱くなっていたので、いけると思ったの」


「いや・・・俺も悪かった。見え見えの弱ったフリには気付いていたんだが、情報共有すべきだったな」


擬傷行為かよ。


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レジェンドエリアボス、フェリオを討伐しました。

エリア、コキュートスが開放されました。

召喚契約・フェリオを獲得しました。

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「エリアが開放されたらしいな」


「あ、ログアウト出来るようになってる」


俺の言葉に、フィロが言う。


召喚契約・・・俺、レンジャー系列だから召喚出来ない。

宝の持ち腐れだな。


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・・・え、やり直し?

仕方が無いですね。


召喚契約・フェリオを失いました。

エクストラジョブ、フェンリルマスターへのクラスチェンジが可能になりました。

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報酬が変わった?!


いや、レンジャー以外ならないぞ。


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フェンリルマスター←レンジャー系列

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ならないって。


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フェンリルマスターへのクラスチェンジが不可能になりました。

[GR]コキュートスを入手しました。

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[GR]コキュートス

 氷獄の狼王が宿る武器。

 自然の魔力で蒼白く輝く剣。

 あらゆる物を凍らせ、切断する。

 奥義、コキュートスが使用可能になる。


奥義・コキュートス

 時空を凍らせ、停止した時空の中、回避防御不能な一撃を加える。

 放った跡には、幾億年もの間、時空の歪みや冷気が留まる。


おお、これは嬉しい。

奥義はともかく、強そうだ。


まあ、あまり剣は使わないが・・・GRなら、宝飾解放ロストトレジャーに使えばきっと強い。


######################

え、消費されそうで嫌?

我儘ですね・・・


[GR]コキュートスを失いました。

従魔・フェリオを入手しました。

######################


ちょ?!

剣が良かったんですけど!


しくしく。


「ますたあ、どうした?」


フィロが不思議そうに尋ねる。


「・・・ちょっと悲しい事があっただけさ」


そう、ちょっとだけ。

後で思いっきりモフってやる。

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