第72話 魔導王

ぷるぷる・・・


面白顔で震える2人。


「制約・・・トキとソフィアがトップ争いとなった場合は、その順番を入れ替える・・・」


ポラリスが、絶望的な声音で呻く。


「貴様・・・トキめ・・・おのれ・・・」


アーサーが、トキを睨みつける。

殺気を放っているが・・・トキの方が強いからな?


「にゃあ?」


トキが小首を傾げ、ちょこん、と俺の肩に頭を寄せる。


「きいいいいい、近いですわあああああああああ」


だから何、そのルール。


オトメが、恍惚とした表情で告げる。


「何故負けたか、次の代表戦まで考えておいて下さい。次が有れば、ですが。ああ、何故勝ったか、ですかね?」


「「・・・!!」」


アーサーとポラリスは声にならない呪詛を吐き・・・足を引きずりつつ、立ち去った。


「・・・流石シルビア、見事な余興であった。褒美をとらせよう」


「ポイント以外でお願いします」


念の為、釘を刺す。

そもそも、俺がやったんじゃないし。

オトメの出鱈目に勝手に踊っただけだし。

アーサーとポラリスに褒美やった方が良いんじゃね?


--


ひゅ・・・


影が駆け、


とさ・・・


歩いてきた2人が、崩れ落ちる。

2人の意識を刈り取ったのは、トキ。


「これでとお・・・にゃ」


手にした宝石を、もて遊ぶ。


「・・・強いですね、忍者系の4次職でしたっけ」


ユウタが称賛の声をあげる、が、


「そうかにゃあ?」


トキが小首を傾げる。

今のは、実力の一端も出していないからな。


ルナナから聞いていたイベント・・・大量のポイントゲットが可能な、ワールドイベント。

それに参加している。


ルールは単純。

参加表明後、イベントフィールドに移動。

そこで、1人1個の宝石が配られ・・・プレイヤー同士で奪い合う。

イベント終了時に、持っている数に応じて、ポイントが付与される。

・・・イベント終了直前に、俺の宝石もトキに渡す予定だ。


このイベントの良い点は、途中の行動が評価されない事だ。

最後に負けていれば、それで良い。

つまり、俺が宝石を集めてきても、最後にトキに渡せば良いのだ。


「トキ!!卑怯者の顔を拝みにきましたわ!」


「にゃ?」


ポラリスが、複数の取り巻きを連れ、やってくる。


「もう、勝敗はどうでも良いですわ!直接対決が可能な機会が有れば・・・その度に、消し炭にしてあげます!」


「にゃ・・・消し炭にすると、宝石が燃えるかもしれないので、おすすめしないにゃあ?」


「きいいい!」


取り巻き達が前に出て、


「五英雄こそが人類代表に相応しい。資格無しに紛れていた解子に、代表など務まるものか!」


「何故本名にゃ?!」


「一時期はまだ、五英雄の付属品でいたが・・・今は、見る影もない。魔導王アークウォーロックポラリス様の御力で疾く退場せよ!」


「「「魔導王アークウォーロック魔導王アークウォーロック!」」」


ええ・・・


「・・・それ、お姉ちゃんの称号にゃあ・・・?」


ポラリスは、笑みを浮かべ、


魔導王アークウォーロックの実力、魅せてあげますわ!!」


ごうっ


魔力が渦巻き・・・ポラリスに力が集まる・・・

ポラリスが得意とする、氷系最上位魔法。

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