第75話 古城に集う蒐集家

「トキ、受け取れ」


チャリ


自分の分を含め、540個。

後半になるに従い、宝石を多数持ったプレイヤーが増えた結果・・・それなりの数にはなった。

なった、のか?


ひゅん


トキに自分の宝石を渡したので、強制退場に。

・・・最後にソフィアの襲撃とかがあると困るが・・・まあ、あと1分、凌いでくれ。


<ワールドイベント、『古城に集う蒐集家』が終了しました>


リザルトが表示。


1位 トキ 80,234,338 ポイント

2位 ミカエル 50,124 ポイント

3位 イレーザ 3,245 ポイント


1から100位までの中に・・・五英雄はいない?

どういう事だ?


このワールドイベントは、ポイントを稼ぐ上で重要なもの・・・

実際、トキの獲得ポイントは凄い事になっているのだが。

何か、俺達が知らない情報があるのかも知れない。

早々に退場して、そちらの準備にまわっていたとか・・・?


何にせよ・・・


「作戦は大成功・・・みんな、お疲れ様!」


仲間・・・ギルドメンバー、そして、協力者達に告げる。

歓声が上がる。


本当はトキがするのが良いのだろうけど・・・生存者が出てくる場所と、敗北者が出てくる場所は、別なのだ。

合流には少し時間がかかりそうだ。


アジトに招き、酒と食事を振る舞う。

それくらいの食料備蓄はある。


「ますたああああ!私もお酒飲みたいいいいい!」


「お酒は20歳になってからです」


「せめて成人してからにして欲しい?!」


レイをあしらい、ジュースを注いでやる。

成人年齢は16歳まで下がったが、飲酒は20歳から変わっていない。

別にゲーム内では良い気もするが、そこはそれ。


「シルビアさん、有り難うにゃあ!」


「トキも、お疲れ」


合流したトキは、みんなに御礼を言ってまわっている。

・・・やっぱり、代表とか目指さなくて良かった。


「やれやれ・・・やっと終わったでござる」


カゲが、俺にもたれかかってくる。

カゲを抱き寄せ、


「・・・お前、俺以上に何もしてないよな」


カゲは、結局、最初に持ってきた宝石4つと、自分自身の宝石・・・合計5個渡しただけだ。

そういえば、その4つの宝石、誰から奪った物だろう。

適当にそのあたりを歩いている奴からだとは思うが。


ユウタが、こちらに歩いてくる。


「シルビアさん、五英雄の情報が入ってきました」


「五英雄か・・・結局、今回は何をしていたんだ?」


ユウタは、少し困った様な顔をすると、


「その・・・ポラリスはトキさんが撃退・・・他の五英雄は・・・何者かに殺され、宝石を奪われたそうです」


・・・は?


「・・・誰に?」


思わず問い返す。

ソフィアやアリス、ムサシの強さは本物だ。

特に、ソフィアは、俺でも勝てるかどうか怪しい。

ロリアやオトメ、ルナナがいても、だ。

それだけ、ソフィアのレベルは凄まじい。


「分からない、そうです。大勢の陣営が集まる砦で・・・ソフィアさん、アリスさん、ムサシさん、アーサーさん・・・五英雄だけを殺し、宝石を奪い、走り去ったそうです。他のプレイヤーには目もくれず・・・他のプレイヤーの誰にもその姿を視認させず・・・」


「ますます意味が分からないな・・・」


異常・・・そう、異常な強さ。

加えて・・・そこまで大量の宝石が集まっているのに、そちらには手を出さない・・・異常だ。

何かが・・・動いているのかも知れない。

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