第4話 諦め

「お願いします」


まあ、登録しよう。


「はい。それではここに署名と、初期費用が5万だけかかります」


そんなに持ってないよね。


「お金足りないんですけど」


「大丈夫ですよ。貸付を行い、以降の購買の手数料で少しずつ回収するのが一般的です」


なるほど。


「無利息ですか?」


「はい。ギルドをご利用になった日は無利息です」


・・・


にこにこするおねーさん。


「利用しなかった日は・・・?」


「はい。初日は1%だけ利息を頂いています」


・・・


「次の日から2%、3%って?」


「はい!」


にこにこ。


・・・まあ、毎日利用しつつ、早めに返そう。


渡された書類を見る。

何やら文字がたくさん書いてある。

多分、ギアスロールって奴じゃないだろうか。


シルビア、と。


ボウッ


紙が燃え上がり、光の泡がお姉さんの後ろのクリスタルに吸い込まれる。

格好良い。


一枚のカードが残った。


「それがギルドカードです。身分証明書にもなりますし、魔物の討伐証明にもなります。冒険者ギルドへようこそ!」


お姉さんが微笑んで言った。


--


「全部で8千だね」


買取のおっちゃんの査定が終わった。

武器の方が高かったなあ。


周辺で採れる素材のリストも見せてもらった。

放置してた珠っぽい奴とか良い値段した。

くそ。


討伐クエスト、一定数魔物を倒すと報酬が貰えるもの。

収集クエスト、特定の素材を一定数集めると報酬が貰えるもの。

このあたりを受けると良さそうだ。


周辺の魔物生息情報等、必要な情報も貰った。

やっぱり登録して良かった。


アイテムが沢山入る魔法の袋・・・は無かった。

仕方がないので、バックパックやポーチを買った。


幾つか、初級魔物の討伐クエストを受ける。

キャンセルするのにペナルティはないので、受けられるだけ受ける。

収集クエストの方は、素材を溜めておいて、その収集クエストが出た時に納品、が良さそうだ。


ギルドには倉庫があって、そこに無限にアイテムを貯めておけるらしい。


ちょっとだけ覗いてみようか。


マイボックス、と呼ばれる空間。

専用の設備から呼び出す。


ギルドカードをかざして・・・


ぱかり


扉が開き・・・そこには、可愛らしいフェアリーが浮かんでいた。


「初めまして、ご主人様。何か御用でしょうか?」


用?

決まっている。


「君を連れて行きたい」


このフェアリーと冒険出来たら楽しそうだ。


フェアリーはニコニコして答える。


「規定外のコマンドの為、無効です」


えー。


「ちょっとだけ、ちょっとだけだから」


フェアリーの腕を掴んで外に出そうとすると、


ジュッ


腕が溶け、光の泡となって消える。


うわっ


手を離すと、ぺたり、と箱の中で尻餅をつく。


「ご主人様、痛いです・・・」


涙目で、非難する様な目をする。


・・・駄目なのかあ・・・


フェアリーの腕が再生していく。


「ごめんね」


フェアリーに謝罪する。

仕方がない、諦めよう。

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