第108話 死四剣

「姉さん・・・それは?」


ソフィアが尋ねると、


「防御に特化した特殊職業・・・聖職者系列で、回復や支援に関しては、アークビショップより遥かに格上と聞く──反面、職制限で、一切の攻撃魔法、スキルを行使できない」


特化特殊職かあ。

まさかの職業詐称・・・?


聞こえているのだろうか。

アリスはこちらを見て、くすりと笑う。


「どこを見ているんですか!」


リミアのさらなる連撃──


「ヒノコ様、お力を──死四剣カルテットソード


漆黒の剣が、計4本、具現。

飛翔、


ザンッ


「・・・?!」


リミアの防御をやすやすと突破、貫く。


攻撃してるじゃねーか。


リミアが距離を取る。


「異教の神聖魔法──」


リミアが、警戒する様に呟く。

いや、ヒノコ様の系列魔法じゃね?


「私に許された──唯一の攻撃手段です」


アリスが目を閉じ、祈る様に言う。

なるほど・・・だが、強い・・・


「嘘ですね」


嘘かよ。

意味の無い嘘をつくなよ。


「リミアさん・・・貴方も、すぐにヒノコ様の素晴らしさを知り、讃えるようになるでしょう。皆にヒノコ様を信仰させるのが私の役目」


アリスが、祈りの仕草をして、詠う。

そうだね、それが使徒としての役目だね。

実際、地球でも、女神様の言葉を伝える、預言者として活動していた。

アリスの言葉は、あらゆる法に優先する。

宗教の自由はあるが、それとは別に、女神様への敬意は必要なのだ。


「・・・邪教徒め!御神のおわすこの世界で、許されざる暴挙!全霊をもって、止めます!」


リミアが、本気で怒っている。

いや、その御神だからね、ヒノコ様。


ひゅひゅ


リミアの連撃。

それを、アリスは、錫杖で危なげなくいなし。


す・・・


滑るように距離をとると、


ひゅ


虚空に錫杖を滑らせる。


現れたのは・・・マスケット銃。


パンパンッ


次々に射撃。

リミアの結界に当たり、爆発。


リミアが苦しげな表情で後退する。


・・・やばい、アリス、格好良い。


「・・・凄い・・・」


レイが、うっとりして言う。


「純粋なプリーストとして劣っているのは知っていましたが・・・純粋な魔法も強いんですね。しかも、神々しい・・・」


ユウタが、感嘆の息を漏らす。


「あれ、純粋な戦闘能力でも、うちの陣営で最強じゃないかにゃあ・・・」


トキが、唖然として言う。


「職業って、アークビショップだよな?それも嘘だったのか?」


銃やら剣に槍、虚空に出現させて攻撃。

神聖魔法では無さそうだ。


「いえ、あれが、本来の女神様の魔法ですよ。女神様の属性は、『兵器』の概念に近いので」


月花の解説。


「・・・火の神様に祈って、火の魔法使うのと同じ感覚なんだな」


なるほど。


「あそこまで上手く扱えるのは驚きだがな」


ヒノコ様が苦笑する。


「リミアとアリス・・・アリスの方が強いのか?」


リミアの方が、才能も能力も高いと思っていたんだが。


「アリスが本当に全力を出せばともかく、通常であれば、リミアが圧倒するであろうな。リミアは掛け値無しの天才だ」


ヒノコ様がリミアを褒める。

あれ?

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