第六百二十三話 守備隊員との手合わせ

 午後は、訓練場に行って怪我をした兵の治療をします。

 すると、またもやユキちゃんがマイ木剣を手にして訓練に参加するつもりです。


「あら、ユキちゃんも訓練に参加するの?」

「アン!」


 ケイトさんは遠征から帰ってきたばっかりなので訓練はお休みだけど、王都でも会ったことがあるのでユキちゃんにも気軽に話をしていました。

 そして、ユキちゃんは意気揚々と訓練に参加していきました。

 すると、僕に声をかける人がいました。


「おい、レオも訓練に参加しろ。明日帰るのだから、レオの強さを実感するには今しかない」


 守備隊長さんが僕も訓練に参加しろと言ってきたけど、確かに直接手合わせした守備隊員ってマヤさんとセラさんしかいないもんね。

 ということで、僕も木剣を手にして訓練場に上がったのだけど、いきなり強敵を相手にすることになっちゃいました。


「ふふ、レオ君と手合わせするのを楽しみにしていたのよ」

「強くなったのは分かっているけど、実際に戦わないと分からないわ」

「お姉さんとして、負けるわけにもいかないしね」


 何と、セレンお姉さん、ナナリーお姉さん、カエラお姉さんの三人と相手をすることになってしまったのです。

 あの、三人はとっても強いから僕が手合わせする必要はないと思うのですけど……

 でも、三人はやる気満々でいるし、しかも三人まとめて訓練することになりそうです。

 僕は、トホホって思いながら木剣を構えました。


「始め!」

「「「はぁぁぁ!」」」


 合図とともに、一斉に三人が僕に斬り掛かってきた。

 しかも連携も凄くて、僕は何とかギリギリでかわしていった。

 そして、何とか攻撃の合間を縫って反撃していきます。

 うん、やっぱりセレンお姉さんたちはとっても強いですね。


「あの、結局三人がかりで一撃も入れられなかったんだけど……」

「しかも、レオ君は本気を出していないんでしょう?」

「あの小さかったレオ君が、ここまで強くなるとは思わなかったわ」


 セレンお姉さんたちは息を整えながら僕にそう言ってきたけど、僕も殆ど有効打が出せませんでした。

 それに、とってもいい訓練になった気がします。


「よーし、じゃあ次は俺だな」

「昔は素振りをするだけだったが、どこまで成長しているか楽しみだ」


 そして、次はスキンヘッドの人ともしゃもしゃの人が相手でした。

 僕と対戦する順番も決まっているみたいで、順番に対応しました。


「アン、アン、アン!」

「おお、ユキちゃんもいい感じに剣を振るえるのね」

「もっと元気よく振るっていいよ」


 ユキちゃんとは、マヤさんとセラさんが相手をしてくれていました。

 治療は、ソラちゃんが頑張ってくれているので大丈夫ですね。

 こうして、僕たちは午後の訓練に付き合って時間を潰しました。

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