第三百六十五話 みんなに挨拶に行きます
バーボルド伯爵領に向かう前日、僕はシークレア子爵領でお世話になったところに挨拶に向かいます。
宿を出発すると、最初に向かったのは海軍の施設です。
施設に到着すると、僕は門を警備している兵の人に挨拶をしました。
「おはようございます。明日シークレア子爵領を出発するので、挨拶にきました」
「話は聞いてるよ。司令官室に来て欲しいそうだよ」
既に僕が来るのを知っているので、兵もの人も直ぐに場所を教えてくれました」
僕は、何回か行ったことのある海軍司令官室に向かいました。
コンコン。
「入ってくれ」
海軍司令官室のドアをノックすると、直ぐに中から声がしてきました。
ドアを開けると、ニコリとしているワイアットさんが出迎えてくれました。
僕は、ワイアットさんに勧められて応接セットのソファーに座りました。
「この間屋敷で挨拶して貰ったのに、わざわざ来てもらってすまないね」
「いえ、ちょうどお隣にも挨拶に行く予定でしたので」
「そうだね。一年近くもいたところだから、挨拶に行かないとね」
海軍の施設の隣がずっと働いていた造船場なので、次に挨拶に行く予定です。
でも、海軍の施設でも怪我人の治療をしたりと色々働いたんだよね。
今日も多くの人が働いていて、とっても活気のある施設です。
「今年中に完成する高速船があるだけでも、十分な戦力増加になる。旗艦船はもう少し建造に時間がかかるが、それでも当初の計画よりも相当早まった。改めて礼を言おう」
「僕も、初めての経験だったけどとっても楽しかったです。でも、早く争いが収まればいいですね」
「それは、我々も同感だ。無駄な血を流すことは、我々も望んでいない。そんな世界が作れるように、我々も頑張るよ」
ワイアットさんは、ニコリとしながら僕と握手をしてくれました。
やっぱり平和な世界が良いって、みんな思っているよね。
ワイアットさんのお仕事を邪魔しちゃいけないので、僕はここで司令官室を退室しました。
お次は、お隣にあるずっと働いていた造船場です。
最初に、事務所に入って所長室に向かいます。
コンコン。
「入っていいぞ」
所長室のドアをノックすると、中から聞きなれた所長さんの声が聞こえました。
ドアを開けると、これまたニンマリとした所長さんが待っていました。
所長室の応接セットに座ると、初めて造船場に来た時を思い出すよ。
「レオには、色々と助けて貰った。本当に感謝している。作業進捗もそうだが、作業員の衛生環境の整備も助けて貰った」
「僕も、造船場で働いてとっても勉強になりました。確か、医務室を新設したんですよね」
「そうだ。どうしても怪我人が多い仕事場だから、治療出来る部屋を増やした。簡単な怪我なら対応できるようしているぞ」
僕とシロちゃんが仕事中に治療をしていたのもあったんだけど、やっぱり元から怪我人が多かったんだって。
だから、とある職人さんの奥さんが医務室に常駐して、怪我をしたら治療をしてくれる事になりました。
これなら、簡単な怪我だったら直ぐに治療ができます。
他の造船場でも、共同で治療するところを作るんだって。
僕もシロちゃんも、とっても良い事だと思うよ。
「かあちゃんも職人も、レオに会いたがってるぞ。俺のところはこのくらいでいいから、レオもシロちゃんも会いに行ってやれ」
「僕もみんなに挨拶をしたいです」
「俺からは、元気にやれって事だけだ。どうせレオの事だから、直ぐに色々な噂が広まるだろう」
僕とシロちゃんは、所長さんとハイタッチしてから所長室を後にしました。
その後で、ずっと働いていた倉庫に向かいました。
「おっ、来たな」
「待っていたぞ。事務所に入っていくのが見えたからな」
倉庫に向かうと、職人さんが僕とシロちゃんの事を出迎えてくれました。
職人さんの手を止めちゃ悪いので、手短に話をします。
「一年間、色々とお世話になりました。本当に勉強になりました」
「いやいや、俺達の方こそ勉強になった」
「小さい子に負けない様に、こっちも色々と必死だったもんな」
職人さんが笑いながら話してくれたけど、職人さんもとっても凄い人ばっかりだった。
僕は前から職人さんは凄いって思っていたから、とっても良い経験になりました。
倉庫内にいる職人さんに握手していくと、あのスラム街の男の子が近づいてきました。
「かーちゃんのこと、本当にありがとう」
「やっぱり、レオは凄い奴だったな」
「俺も、レオに負けない様に頑張るぞ」
何だか、僕もシロちゃんも心がぽかぽかとしちゃいました。
荒海一家に騙されて悪い事をしていた時と、今は表情も全然違いますね。
きっと、スラム街の男の子も良い職人さんになれると思うよ。
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