第百三十九話 ゴブリン討伐の祝勝会

「うーん、良く寝たー」


 僕は、お昼寝から目が覚めました。

 いっぱい寝たので、頭もスッキリしました。

 魔力も、結構回復しているね。

 僕は身支度をして、宿の部屋を出ていきました。


「おっ、主役の登場だ!」

「「「おー!」」」


 わわ、宿の食堂に顔を出したら、沢山の人に囲まれちゃったよ。


「凄かったぞ、小さいのに本当に凄い魔法使いだ」

「ゴブリンキングを倒すなんて。流石は二つ名があるだけの事はあるな」


 皆が口々に僕の事を褒めてくれて、頭も撫でてくれました。

 何とか人混みをかき分けて、ユリアさんとイリアさん達が座っているテーブルに辿り着きました。

 テーブルには、シロちゃんも待っていました。


「わわっ!」

「ふふ、レオ君大人気だったわね」

「でも、その気持ちも分かるわ。単独で凄い事をしちゃうんだから」


 ユリアさんとイリアさんが椅子に座った僕の頭を撫でてくれたけど、皆もニコニコしていたよ。

 よく見ると、怪我をした人も祝勝会に参加しています。

 少し動けるまで回復できたんだね。

 ここで、守備隊の人が僕達の前に出てきたよ。


「今日は予想外のゴブリンの襲撃となったが、こうして街の人に危害を出す事なく撃退できたのもここにいる皆のお陰だ。勿論ゴブリンジェネラルとゴブリンキングを倒したレオ君の功績も大きいが、冒険者が一致団結してくれたのも大きい。感謝を申し上げる」


 パチパチパチ。


 守備隊の人の話を聞いて、皆が拍手をしているよ。

 多くの冒険者がゴブリンに立ち向かったからこそ、ゴブリンを撃退できたんだよね。


「先に連絡しておくが、討伐対応にあたった冒険者へは後ほど冒険者ギルド経由で実績に応じた報奨金が支払われる。また、明日から馬車便も再開予定だ」

「「「おおー」」」


 今回は沢山のゴブリンを倒したから、皆の実績も中々のものなんだろうね。

 馬車便も再開するけど、僕達はどうするのかな?


「では、食事を楽しんでくれ。乾杯!」

「「「かんばーい!」」」


 でも、細かい事は明日の朝考えれば良いね。

 僕も、ジュースの入ったグラスを手にして乾杯をします。

 そして、用意してくれた食事を食べ始めます。

 とっても沢山の料理が、テーブルの上に並んでいるね。


「しかし、ゴブリン達が襲撃してくるとはな。もしかしたら、街道で倒したゴブリン達が監視役だったのかもな」

「それで、ゴブリン達がやられると思ってこの村を襲撃か。確かにありえるな」


 お酒をグイグイと飲みながら冒険者が話をしているけど、僕もその可能性はあるなと思ったよ。

 じゃないと、ゴブリンが村をいきなり襲う理由がないもんね。


「しかし、今日のレオ君の戦いは語り草になるわね。あんなに格好良く、多くのゴブリンを魔法で倒したんだから」

「えー、そんな事ないですよ。それに、多くのゴブリンは皆さんが倒してくれましたよ」

「レオ君がバインドをして、動けなくなったゴブリンをね。それに、ゴブリンジェネラルとゴブリンキングはレオ君の魔法で倒したのは間違いないわよ」


 うう、ユリアさんとイリアさんが得意気に話をしているけど、絶対に誇張された話になりそうだよ。

 そして、他の所にも誇張された話が伝わりそうだ。


「シロちゃんもありがとうね。シロちゃんも沢山のゴブリンを倒したし、後処理までしてくれたんだよね」


 僕は、シロちゃんにもお礼を言います。

 シロちゃんも、美味しそうに料理を消化しながら僕に触手をふりふりとしてくれました。

 シロちゃんがゴブリンキングの顔に散弾を飛ばしてくれなかったら、僕はゴブリンキングに上手く魔法を当てられなかったかもね。

 そんな事を思っていたら、僕達のテーブルに守備隊の人達がやってきました。


「歓談中の所、失礼する。今日は本当にありがとう。特にこのテーブルにいる冒険者の活躍がなければ、間違いなくゴブリンの襲撃を防げなかっただろう」

「あと、結果的にとはいえ幼いレオ君を最前線で戦わせる事になった。謝罪すると共に、レオ君には本当に感謝している」


 守備隊の人達の言う通り、僕だけではゴブリンは倒せなかったもんね。

 それに緊急事態なんだから、僕が最前線に出るのは仕方ないよね。


「申し訳ないが、今回はレオ君の実績が凄いから、報奨金の計算に時間がかかりそうだ」

「大丈夫ですよ。直ぐにお金は必要としていないので」

「ありがとう。しかし、王都の軍に連絡したら、師団長様よりレオ君ならそのくらいはやるだろうって返事があったよ」


 ええー!

 師団長さん、何を言っているんですか!

 僕だって、魔力尽きる程の戦いだったんだからね。

 そんなに簡単にできる様な事ではないですよ。


「私達からの話は以上だ。ああ、そのスライムが綺麗に後処理をしてくれたから、報奨金の計算がとても捗っている。そのスライムにも報奨金を出さないとな」


 守備隊の人はちょっと笑いながらそう言うと、僕達のテーブルから離れて行きました。

 シロちゃんも、褒められてちょっと照れた感じですね。


「おー、空いたか。今度は俺達と話をしよーぜ!」


 おっと、今度は冒険者の一団が僕達のテーブルにやってきたよ。

 今夜は、とても楽しい時間になりそうですね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る