第三百二十二話 荒海一家の残党を撃破

 セルゲイさんとアンジェラさんは、これから屋敷に戻って色々な対策を検討する様です。

 領主様って、本当に忙しいね。

 と、ここでセルゲイさんが僕に話しかけてきました。


「レオ君、明日の無料治療の件だが、教会からスラム街に場所が変わるかもしれない。決まったら、宿に使いを出す」


 おっと、いきなりスラム街対策をしているね。

 僕もシロちゃんも、お手伝いできることは頑張ってやるよ。

 話はこれで終わりだそうなので、みんなでセルゲイさんとアンジェラさんを事務所の外まで見送りに行きます。


「わざわざおいで頂き、本当にありがとうございました」

「また、時間ができたら造船所に寄らせて貰う」

「皆さん、お仕事頑張って下さいね」


 所長さんが、事務所前に停めてある馬車の所でセルゲイさんとアンジェラさんに声をかけていました。

 僕とシロちゃんに、オリガさんとモゾロフさんも、ついでに食堂のおばちゃんもセルゲイさんとアンジェラさんを見送っています。

 職人さんも、二人に手を振っていますね。


「おい、ここは通さないぞ!」

「くそ、応援を呼べ!」


 あれ?

 造船所の門の所で、兵と集団がやり合っているよ。

 あれって、もしかして荒海一家の残党?


 ダッ。


「このー! 領主を殺して一泡吹かせてやる!」

「死にさらせ!」


 あっ、間違いなく荒海一家の残党だ。

 残党の目標はセルゲイさんとアンジェラさんなので、モゾロフさんが二人の前に立って僕とシロちゃんも魔法障壁を展開して魔法も準備します。


 ダダッ。

 ブオン、ドキャン!

 ずさー。


「「ぐふぇ……」」


 その時、オリガさんと食堂のおばちゃんがあっという間に残党の前に飛び出して、残党の顔面をぶん殴ったよ。

 物凄く良い音がしたと思ったら、残党は門の方までぶっ飛んで行っちゃったよ。

 うん、残党は地面に横たわったままピクピクとしているよ。

 そして、残党は兵によって縛られてあっという間に運ばれちゃった。


「オリガさんは、相変わらず強いわね」

「いえいえ、奥様こそ良い腕をしておりますわ」


 食堂のおばちゃんとオリガさんがお互いの強さを褒めあっているけど、魔法も使わずにあんなに速く動けるなんて。

 モゾロフさんは二人の強さを知っているのか、たははと苦笑していました。

 僕とシロちゃんはというと、とんでもなくビックリしちゃいました。


「ふむ、流石の強さですな」

「そうですわね。惚れ惚れする強さですわね」


 うん、セルゲイさんとアンジェラさんも、オリガさんと食堂のおばちゃんの強さを知っているんだね。

 そして、セルゲイさんとアンジェラさんは、何事もなく馬車に乗って屋敷に戻って行きました。


「じゃあ、私も宿に帰るわね。レオ君、モゾちゃん、お仕事頑張ってね」


 オリガさんも、僕たちに手を振って宿に戻って行きました。

 うん、やっぱりオリガさんはとっても強いんだね。


「さーあ、憂い事も少なくなったし、張り切って仕事をやるぞ!」

「「「おー!」」」


 所長さんが、職人さん達に気合を入れていました。

 そして、今日のお仕事が始まりました。

 さあ、僕もシロちゃんも頑張るぞ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る