第四百九十八話 再度の謁見の始まり
時間になったので、僕たちは謁見の間に向かいます。
マヤちゃんと手を繋ぎながら歩いているけど、側には海軍総司令官のビクターさんがいます。
この状況でマヤちゃんに喧嘩を売るとなると海軍に喧嘩を売ることになるので、ゴルゴン侯爵一派も僕たちから離れて歩いていた。
マヤちゃんに抱かれているシロちゃんも、周囲への警戒を怠っていません。
「ははは、幼女の側に凶悪な番犬がいるな」
「誰が凶悪な番犬だ。バッツの方が、よっぽど凶悪だろう」
「そうですよ、バッツさんもちょっと言いすぎです」
更に、バッツさんとアイリーンさんも僕たちの側にやってきたけど、心のなかでビクターさんは最強の番犬じゃないかなと思っちゃったよ。
ナンシー侯爵やブランフォード子爵といった軍の幹部、ついでにバーボルド伯爵やマイスター師団長さんも僕たちのところにやってきました。
この人たちを突破して喧嘩を売るのは、ほぼ不可能でしょうね。
ゴルゴン侯爵一派も、遠くから悔しそうに僕たちを眺めているだけだった。
そして、謁見の間に着くと更に多くの軍幹部が集まってきた。
中には、宰相や商務卿とも仲の良い貴族も集まっています。
いつの間にか、ゴルゴン侯爵一派は謁見の間の端に追いやられていました。
まさに、今の勢力図を表していますね。
そして、閣僚と陛下が袖口から入ってきてそのまま謁見が始まりました。
「前日謁見を行い、その際に自己の利益ばかりを追求するのではないと言ったばかりだった。しかし、訓練中の軍を襲撃するという本当に残念な事件が起きた。自己の感情をコントロールできないなど、もはや獣当然だ」
おお、陛下が激怒しているのがよく分かるよ。
いつもにも増して、とても厳しい口調です。
それだけ、ゴルゴン侯爵一派に怒っているんだ。
そして、宰相から今回の件の処分について言い渡された。
「まず、主犯のゴルゴン侯爵家については、爵位取り上げの上で取り潰しとする。当主夫妻、並びに嫡男夫妻は無期の重犯罪者用の強制労働施設行きとする。また、ゴルゴン男爵家も爵位取り上げの上で取り潰しとする。当主は、同じく無期の強制労働施設行きとする」
おお、まさかの二家が取り潰しとなるとは。
ゴルゴン男爵家には、アマード子爵家にいた時に工房を襲われたり盗掘されたりと大迷惑を被ったもんね。
凝りもせず、軍の襲撃に関与していたんだ。
「他に関与した貴族家については、爵位の降格、当主強制交代、罰金を言い渡す。なお、降格したゼノバース子爵家には後継者がいない為、ゼノバース子爵家の血を引く旧ゴルゴン侯爵家のマヤが当主となる」
ある程度予想がついた処分なので、この辺は殆どの貴族は妥当だと思っていた。
しかし、旧ゴルゴン侯爵一派だけは悔しそうに歯ぎしりをしていた。
いやいや、完全に自業自得だと思いますよ。
「そして、降格した各貴族家については、今後五十年間は主要な地位につけないこととする。領地持ち貴族は、降格前の爵位の税金を納めるその間、何かの罪を犯した場合は、通常よりも重い罰とする」
法衣貴族にとって、この罰は収入減を意味する。
罰金も高額だし、普通に考えたら何も悪いことはできないはずだ。
そして、話は行政改革に移ります。
「現在、官僚採用に対しての口利きがとても多く見られる。そこで、官僚採用試験を大幅に見直し実力主義を取る。とはいえ、普通に勉強していれば受かる試験だ。余も勉強を兼ねて受験したが、問題なく合格した。さっそく、次の試験より採用とする」
「「「なっ」」」
「更に、現役の官僚に関しても再試験を課す。ただし、猶予期間を設けるのでその間に勉強をすることができるだろう。もちろん、試験に落ちた場合は配置転換を行う」
おお、旧ゴルゴン侯爵一派が大きな声をあげたよ。
きっと、贈収賄などを使って影響力拡大を狙ったのでしょうね。
それに、もしかしたらその相手が試験に落ちるの待ったなしなのかもしれないです。
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