第百四十七話 バーサス子爵の別荘を制圧
カラカラカラ。
一部の守備隊が先行して、バーサス子爵の別荘に向かっています。
僕達は、守備隊の本隊と一緒に別荘に向かいます。
「うわあ、湖畔にとっても大きなコテージがありますよ」
「あれがバーサス子爵の別荘だ。この辺にある別荘の中では、最も大きいんじゃないかな?」
まるでお城の様なコテージが、湖畔にどーんとそびえています。
チャーリーさんが苦笑しながら応えてくれたけど、あの別荘を見ただけでもお金の無駄遣いが良く分かります。
「屋敷の前で、守備隊の人と誰かが揉み合いになっていますね」
「やましい事を隠している証拠だ。今日は、守備隊の牢屋が賑やかになりそうだな」
おお、別荘の人が守備隊の人をぶん殴って、逆に守備隊の人に拘束されているよ。
どう見ても、盗賊みたいな人が別荘の警備に付いているんだね。
そして、僕達も別荘の前に到着しました。
守備隊の本隊は別荘の裏側も固めて、誰も逃げられない様にしています。
「大丈夫ですか?」
「あ、ありがとう」
僕は、顔を殴られた守備隊員を治療します。
そして、別荘の前では未だに押し問答が続いていました。
「守備隊と代官による強制捜査だ。中に入れろ!」
「けっ、ふざけんな。誰が中に入れるかよ!」
うーん、別荘の人は完全に悪役キャラになっているね。
格好も服装も、やっぱり盗賊にしか見えないし。
「チャーリーさん、魔法で拘束しますか?」
「ああ、やってくれ。バーサス子爵は、ここで時間を稼いで逃げる気だろうな」
という事で、チャーリーさんの許可も貰ったので僕は盗賊っぽい人達をエアバインドで拘束していきます。
面倒くさいから、纏めて拘束しちゃえ。
シュイーン。
「うが、何だこれは?」
「全く動けないぞ」
これで大丈夫ですね。
早速守備隊員が、盗賊っぽい人達を紐で縛り上げます。
ここは守備隊員に任せて、僕達は屋敷に突入します。
「襲ってくる人は、拘束しますか?」
「レオ君は雷魔法もできると聞いたから、痺れさせてくれ」
守備隊員さんからのリクエストもあったので、僕は刃物を持って向かって来る人を次々と雷魔法で痺れさせていきます。
バリバリバリ。
「「「ギャー!」」」
「いやあ、レオ君の魔法は本当に凄いね。ここまで安全に中に進んで行けるとは」
「ふふ、久しぶりに私の出番もあるかと思いましたが、その必要は無さそうですわね」
うん、護衛に守られているチャーリーさんはともかくとして、ゴツいメイスを片手にニコリとしているギルドマスターもちょっと怖いよ。
「あっ、居たよ」
「ぐっ……」
そして、廊下に痺れさせている人が並ぶ中、小太りの豪華な服を着た人が部屋から逃げ出そうとしていたよ。
あの人が、間違いなくバーサス子爵ですね。
「ぐっ、ここは通さな……」
バリバリバリ。
「ぐがあー」
僕達を通せんぼしようとした盗賊っぽい人も、僕の雷魔法で一発です。
ドタドタ、ドタドタ。
「こちらも制圧しました」
「ご苦労。さて、バーサス子爵、貴様は大変な事をしてくれたな」
「な、な、な、な、何の、事だ!」
チャーリーさんが、超激おこモードでバーサス子爵に近づいて行きます。
袋のネズミとなったバーサス子爵は、尻もちをついて壁に背中をつけていました。
「既に、薬屋と結託しての賄賂の件も把握している。また、薬屋が作った毒入りポーションにより、フランソワーズ公爵家のクリスティーヌが一時瀕死の重体になった件もある」
「な、え? はえ?」
チャーリーさんがブチギレモードでバーサス子爵に女の子の事を話すと、バーサス子爵は顔が真っ青になって汗ダラダラとなった。
バーサス子爵にとって、フランソワーズ公爵家とマリアージュ侯爵家を敵に回すのは非常にマズイ事なのだろうね。
「拘束した薬屋の店主より、劣悪なポーションのレシピ作りにバーサス子爵が関与した事も把握している。つまり未必の故意により、フランソワーズ公爵家のクリスティーヌ様への殺人未遂も成立する。バーサス子爵を捕縛せよ」
「「「はっ!」」」
「そ、そんな……」
ガクリとしたバーサス子爵を、守備隊長の命令で守備隊が拘束しました。
というか、このバーサス子爵があの劣悪なポーション作りに一枚噛んでいたのか。
これからバーサス子爵の罪は増えていくと思うけど、フランソワーズ公爵家の令嬢への殺人未遂は致命的だろうね。
因みに、バーサス子爵が捕縛されると別荘で抵抗する人はいなくなり、素直に守備隊に拘束されました。
別荘に勤めている侍従とかからも話を聞かないといけないので、守備隊員が一同を大きな食堂に集めて事情を聞いています。
「しかし、この別荘は本当に広いですね。様々な調度品もありますよ」
「どうせ、金品に宝石も多数あるだろう。全て没収だかな」
何でこんなにも沢山の調度品を集めたのか、僕には理解できません。
チャーリーさんも、もう興味が無いって感じでした。
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