第百三十話 今夜はご褒美です

 その後は襲撃もなく、無事に男爵領の領都に到着です。

 もう一回オオカミの襲撃があったけど、今度は酔から覚めた冒険者が難なく倒していました。


「いやあ、シロのお陰で血抜きが楽だったな」

「流石はスライムって感じだな」


 冒険者から褒められて、シロちゃんは体を揺らしながらとってもご機嫌です。

 シロちゃんは本当に凄くて、倒したオオカミの血や内臓だけを綺麗に吸収してくれました。

 お陰で血抜きの手間が大幅に短縮できて、皆でシロちゃんを褒めていました。


「おっと、ここだな」


 僕達は、皆で男爵領の冒険者ギルドに向かいます。

 道中倒したオオカミを、冒険者ギルドに卸す為です。

 男爵領でオオカミを倒したから、出来るだけ男爵領で卸した方が良いんだって。


「おお、ここまで完璧な血抜きは初めて見たな。一体誰がやったんだ?」


 担当の職員もビックリする程、オオカミは血抜きがされていました。

 全員が、僕の手の上にいるシロちゃんを指さしていました。

 シロちゃんも、意気揚々と触手を上げていました。


「ははは、スライムを仲間にしたのか。そりゃ、血抜きは完璧に出来るだろうな」


 職員の人にも褒められて、シロは触手をふりふりとしていました。

 取引金額も良いものになって、皆ホクホクです。


「よっしゃ。今日の宿代と夕食代は豪勢に行けるな」


 今日は皆で同じ宿に泊まるんだけど、お風呂付きの良い宿に泊まる事にしました。

 部屋を取って、早速お風呂に向かいます。

 あっ、ちゃんと僕とユリアさんとイリアさんは同じ部屋で、他の人は別の部屋ですよ。


「やっぱりお風呂は気持ちいいわね」

「そうね。これも、道中オオカミを倒したおかげだね」

「はふぅ……」


 他のお客さんもお風呂に入っている中、僕は湯船の中に入って極楽です。

 シロちゃんも、僕の頭の上に乗ってとってもご機嫌です。

 昨日は生活魔法で体を綺麗にしただけだったから、やっぱりお風呂に入るととても気持ち良いですね。


「わあ、豪華な料理だ!」

「こういうのも、旅の醍醐味だな」


 お風呂に入って皆で食堂に行くと、豪華な料理がテーブルの上に並んでいました。

 アマード子爵邸でも豪華な料理を食べた事があるけど、ここの料理もとっても凄いよ。


「おいしー! お肉も柔らかくて、とっても食べやすいです!」

「ふふ、レオ君も料理に夢中になっているわね」

「可愛いわね」


 僕も思わず夢中になる程、とっても美味しい料理でした。

 今回良い宿に泊まれた貢献度が一番のシロちゃんにも、美味しいお肉を分けてあげます。

 シロちゃんも、美味しいお肉にご満悦です。


「かあ、今日の酒は美味いなあ」

「でも、飲み過ぎないで下さいね。今朝みたいな事になったら大変です」

「はは、流石に分かっているよ。あと二杯で止めるぞ」


 それにしても、冒険者ってお酒が大好きなんだね。

 ユリアさんとイリアさんはお酒を飲まないけど、僕達の周りにいる人もお酒をグビグビと飲んでいます。

 僕にはお酒が美味しいかどうか、まだ分からないもんね。


「うーん、やっぱりお風呂に入ると疲れが取れるね」

「そうね。そう考えると、道中現れる動物や魔物も良いものよね」


 就寝の準備をしていると、ユリアさんとイリアさんが道中の事を話していました。

 確かにオオカミを最初見た時はちょっとビビっちゃったけど、結果的には良い事に繋がったもんね。

 シロちゃんともお友達になれたし、今日は良い事がいっぱいあったね。

 明日は、一体どんな旅になるのかな?

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